「北欧感」漂う!広々インテリア 薄味な優等生? ポールスター4 シングルモーターへ試乗

公開 : 2024.07.27 19:05

ボルボから派生したポールスターに、BMW iX3の競合、4が登場 リアウインドウのない個性的な後ろ姿 上品で落ち着いたインテリア 軽快感ある後輪駆動に快適な乗り心地 英編集部が評価

従来の概念を超えたポールスター4

ポールスター4は、従来の概念を超えたモデルだ。クロスオーバーに思えるが、ルーフラインはクーペで、走りはスポーツカーが目指されている。リアウインドウはなく、バックミラーはカメラとモニター。デジタル技術は満載だ。

ピカソの絵画のように、多くの優れた側面を1台にまとめたような成り立ちにある。できるだけ多くのユーザーを取り込もうという、狙いがあるのだろう。果たして、それは成功したといえるだろうか。

ポールスター4 ロングレンジ・シングルモーター(欧州仕様)
ポールスター4 ロングレンジ・シングルモーター(欧州仕様)

ボルボから派生したポールスターは、バッテリーEV専門ブランド。4の基礎骨格は、ボルボEX30スマート#1も採用する、ジーリー・グループのSEAプラットフォームが担っている。

駆動用モーターはシングルとツインがあり、最高出力は前者で271ps、後者が543ps。駆動用バッテリーの容量は94.0kWhと大きく、急速充電は200kWまで対応。残量10%から80%まで、最短30分で回復できる。

ボディサイズは、全長が4840mmで、全幅1950mm、全高1544mm。ライバルとしては、ポルシェ・マカン・エレクトリックやBMW iX3、アウディQ6 e-トロンなどが当てはまるが、最大の宿敵はより安価なテスラモデルYなはず。

スタイリングの特徴となるのが、後ろ姿と、全高の低さ。メルセデス・ベンツEQEと比べても、20mm程度高いだけに過ぎない。クリーンでシャープな面構成は、好き嫌いが分かれるかもしれないが、記憶には残りにくいかも。少なくとも、筆者の印象は良い。

上品で落ち着いたインテリア 驚くほど広い車内

ドアを開き運転席へ座ると、クーペ風のルーフラインであることを再確認する。着座位置はクロスオーバーとしては低く、従来的なサルーンと大きくは違わない。

ダッシュボードは水平方向に強いラインが入り、エアコンの送風口が巧妙に一体化されている。中央には、エアコンの操作系も集約された、大きなタッチモニター。ステアリングホイールの奥には、小さなメーター用モニターがある。

ポールスター4 ロングレンジ・シングルモーター(欧州仕様)
ポールスター4 ロングレンジ・シングルモーター(欧州仕様)

インテリアデザインは、上品で落ち着いている。スカンジナビアのブランドであることを、主張するように。

インフォテインメント・システムは、EX30が採用するシステムのアップデート版。大きなアイコンは、選択するとオレンジ色に光り、タップしたことが視覚的にわかりやすい。ホーム画面は変更可能で、ショートカット・アイコンもあり、扱いにくくはない。

車線維持支援機能のオン/オフや、回生ブレーキの強さも、設定次第では1度のタップで切り替え可能。実装されるグーグルマップも、例によって使いやすい。

他方、アダプティブ・クルーズコントロールや間接照明などの車載機能には、3回以上のタップが必要。完璧なユーザーインターフェイス、とまではいえないだろう。

車内空間の広さは驚くほど。クーペ風のシルエットだが、乗員空間部分のルーフラインが水平に伸びている効果だ。リアシートにも、身長が180cmを超える大人が快適に座れる。シートはフカフカで、リクライニングでき心地良い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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