フォード・トルネオ・クーリエ 詳細データテスト 商用由来らしからぬ足さばきと乗り心地 価格は高い

公開 : 2024.07.20 20:25  更新 : 2024.07.27 02:32

結論 ★★★★★★★☆☆☆

安価なコンパクトカー市場へフォードが戻ってくるというので話題になったが、トルネオ・クーリエは小さいけれど価格はかなりプレミアム寄りだった。コントラストルーフやSUV的なエクステリアなどを追加すると、競合車より数千ポンド高くなってしまう。

そのタフで堂々たるルックスはさておき、全体的な内容はこの価格に見合っているのか。イエスと言える部分もあるが、すべてではないのも事実だ。

結論:フォードらしい品質は備えているが、高くなってしまった価格に見合うものではない。
結論:フォードらしい品質は備えているが、高くなってしまった価格に見合うものではない。    JACK HARRISON

フォードは、乗り心地やハンドリングではいい仕事をして、ほかにないような落ち着きを持たせている。しかし、装備面はそうではなかった。パッケージングは上々で、駐車しやすいサイズに十分な荷室容量を組み込む術を示してくれた。

しかし、主なライバルにだいぶ及ばない部分もある。斬新な実用装備が不足していたり、キャビンのクオリティがどうしようもなく低いところがあったり、エンジンのトルクに余裕がなかったり、といった点だ。

魅力がないわけではない。しかしこの価格なら、もう少し工夫されていて、もう少し力強く、もう少し完成されたものを期待するはずだ。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

一般的な商用ベースのクルマと比べれば、外観はかなり魅力的だし、そのほかの出来に興味を抱かせる。このクルマが気になったという隣人は、荷室を見せたら驚いていた。関心を引く上で、デザイナーの仕事がいかに大事かよくわかった。

マット・ソーンダース

せっかくタイトなスペースにクルマを止めても、大きなテールゲートを開けると面倒なことになる場合は多い。しかし、山あいの駐車場で雨に降られたときは、雨具を身につけるときのちょうどいいシェルターになってくれるだろう。

オプション追加のアドバイス

買うならトップグレードのアクティブ。180ポンド(約3.7万円)のホワイトルーフを追加したいが、これを選べるボディカラーはグリーンとグレーのみだ。スペアホイールとマッドフラップを追加すれば、SUV的ルックスがより完璧になる。

改善してほしいポイント

・重い荷物を積みたいユーザーは、トルクのあるディーゼルがほしいはずだ。
・キャビンの隅々にまで気を配って、チープさや薄っぺらさをなくしてほしい。
・荷室の装備にもっと工夫を。あと、リアシートが脱着できるとうれしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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