フォード・トルネオ・クーリエ 詳細データテスト 商用由来らしからぬ足さばきと乗り心地 価格は高い

公開 : 2024.07.20 20:25  更新 : 2024.07.27 02:32

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

一見して、商用ベースの競合車の多くに対するアドバンテージがわかる。デザインは乗用車らしいもので、直立した大きなグリル、大面積のガラスハウス、フレアした前輪アーチや跳ね上がったデザインが印象的なウエストラインなどは、バンにシートとウインドウを足したようには見えない。

今回のタイタニウムは下位機種だが、上位グレードはさらに目を引くアイテムが備わる。アクティブ仕様には、タフな見た目のスキッドプレートやホイールアーチのクラッディングが装着され、有償で白か黒のコントラストルーフにすることもできる。

タイタニウムは16インチアルミが標準装備で、この切削仕上げ風の17インチはオプション。65タイヤによる乗り心地か、フォード車に期待されるグリップレベルか、好みかによって選びたい。
タイタニウムは16インチアルミが標準装備で、この切削仕上げ風の17インチはオプション。65タイヤによる乗り心地か、フォード車に期待されるグリップレベルか、好みかによって選びたい。    JACK HARRISON

4.3m級のボディはルーフが高く、サイドがスクエアなMPVスタイルで、キャビンは5人乗り。シトロエンベルランゴのショートボディよりはわずかながら小さく、ロングボディは用意されない。そこは、フォルクスワーゲン・キャディをベースとした、7人乗りのトルネオ・コネクトの領分だ。

フォードはこの手のクルマをマルチアクティビティヴィークルと呼び、一般的なMPVとの差別化を図るとともに、使用目的を明確化している。単なるファミリーカーではなく、趣味の道具なども積み込めるクルマということだ。高さのあるボディサイドとテールゲートは、中型SUVなどよりも大きく高い積載エリアを実現。天井が高く角がスクエアなので、自転車のようなかさばる積荷も楽に載せることができる。

名目上は商用ベースだが、機械的にはそうとも言い難い。プラットフォームは、プーマやフィエスタと同じグローバルBで、ホイールベースをプーマより100mm以上延長している。フロントがストラット、リアがビームアクスルという足回りはBセグメントの典型で、コイルスプリングとツインチューブのガスダンパーを前後に備える。

内燃エンジンは、商用モデルはガソリンとディーゼルを揃えるが、このトルネオ・クーリエはガソリンのみ。長年使われている998cc直3ターボのエコブーストで、最高出力は6000rpmで125ps。フルスロットルではオーバーブーストが効き、20.5kg-mの最大トルクを30秒のみ発生する。

EVのe−トルネオ・クーリエは136psで、航続距離は370km。今年の遅い時期に、ガソリンモデルと入れ替わる予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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