ボルボV40クロスカントリーD4
公開 : 2015.01.08 23:50 更新 : 2017.05.29 19:08
なにも主観的な意見などではなく、324ℓという荷室容量はアウディA3スポーツバックのそれより56ℓ小さく、フォルクスワーゲン・ゴルフSVからはなんと266ℓのビハインドとなる。
1500rpm付近から回り始めるタービンが加勢しはじめてからの推力はまずまずのもの。ただし0-100km/hタイム7.3秒という額面上の数値こそ速く感じられるものの体感的にはゆったりとした印象だ。
マニュアル・トランスミッションよりは迅速ではあるが、ほんのわずかにぎこちない印象が拭えない8速ギアボックスがこのような印象をもたらすのかもしれない。とくに変則的なスロットル操作時には瑕疵が目立つ。
またギア・セレクターの不必要な重さや硬さも手放しに受け入れることはできない。これに加えてアイドリング回転域に目立つエンジンのノイズや振動も改善を望まずにはいられない。
回転数をあげていけば振動は抑制されるものの、その時にはディーゼル特有の唸り声が響き始める。ただし窓を閉じて室内にいる限りはあまり悩まされることはなく、ウインド/タイヤ・ノイズの抑制も効いている。
その反面、速度域や路面状況を問わずに生じる、バンプの増幅は考えもの。ボルボを降りてフォード・フォーカスに乗り込み、同じ道を走って、いかに粗雑な乗り心地であったかを痛感した次第だ。
硬質であるものの、面白みのあるハンドリングを与えたアウディQ5のようにオリジナリティにあふれるキャラクターはそこになく、シャシー自体がドライバーを楽しませるというようなこともない。
もちろんクロスオーバーとして十分なコントロール性能は携えているけれど、演出過剰なセンタリング・アクションや、鈍い操舵フィールはもっとプッシュしていきたいと、一秒たりとも思わせてくれなかった。
■「買い」か?
標準のV40 D4からの£1,000(18万円)分の価格上昇を正当化することは極めて難しい。またV40 D4クロス・カントリーを他車ライバルと比べることも、あまり気がすすまない。
クロスオーバー風のルックスを望みながらオフロードにいく機会もないならば、資金をセーブしてスコダ・イエティか日産キャシュカイ(日本名:デュアリス)、マツダCX-5を買うほうが動力性能も実用性も高い。
オフロードの走行も考慮にいれるならば、テスト車両とほとんど同じ価格帯でアウディQ3やQ5、さらにはV40より大きな兄貴分であるXC60だって購入することができる。
あるいは質感と実用性を優先するならば£1,600(29万円)安価なアウディA3スポーツバックを買うことも可能だ。これなら同様の動力性能や経済性を手にしながら、高い質感とより広いインテリアを保証してくれる。
(ジョン・ハウウェル)
ボルボV40クロスカントリーD4
価格 | £30,320(546万円) |
最高速度 | 209km/h |
0-100km/h加速 | 7.3秒 |
燃費 | 23.3km/ℓ |
CO2排出量 | 112g/km |
乾燥重量 | 1507kg |
エンジン | 直列4気筒1969ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 190ps/4250rpm |
最大トルク | 40.8kg-m/1750-2000rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |
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