【小・少・軽・短・美】 スズキの行動理念 製造からリサイクルまで10年先を見据えた技術戦略を発表

公開 : 2024.07.18 07:05  更新 : 2024.08.05 13:42

スズキが製造からリサイクルまで、エネルギー極小化に向けて10年先を見据えた技術戦略をメディア向けに発表しました。鈴木俊宏代表取締役社長が会見で熱く語った技術戦略の5本柱をご紹介します。

スズキの行動理念「小・少・軽・短・美」

スズキは製造からリサイクルまで「エネルギーを極少化させる技術」を実現し、世界中の人々に移動する喜びを提供しつつ、カーボンニュートラルな世界を目指す。7月17日、その技術戦略の説明会がメディアに向けて行われた。

スズキは「小・少・軽・短・美」を行動理念のひとつとしている。

スズキ「10年先を見据えた」技術戦略の説明会
スズキ「10年先を見据えた」技術戦略の説明会

これは技術戦略においても当てはまるもので、つまり排出するCO2が少なければ取り返す量も少なくて済むということ。使うエネルギーを極小化すれば、出すCO2を極限まで小さくできる。

「小・少・軽・短・美」によるエネルギーの極小化は、電池や燃料、クルマ、そしてリサイクルの負担も小さくでき、コストや資源リスクも少なくすることが可能だ。

では、そんなスズキのエネルギー極小化に向けた技術戦略の5本柱を紹介していこう。

1. 軽くて安全な車体

スズキが得意とする小さく軽いクルマは、走行時のCO2排出量が少ないだけではなく、製造に必要な資源や製造で排出するCO2も少なくでき、省資源やCO2削減に貢献してきた。

そこで、安全で軽量な車体「HEARTECT(ハーテクト)」をさらに進化させ、軽量化技術によるエネルギーの極少化に取り組んでいく。

スズキ「10年先を見据えた」技術戦略の説明会
スズキ「10年先を見据えた」技術戦略の説明会

例えば、軽自動車のアルトは初代から7代目まで進化する間に車両重量が約200kg増加した。

そこで8代目は120kgの軽量化に成功。現行型の9代目では安全装備などの関係で60kg増加したが、次期型の10代目では安全性能を向上しながら100kgの軽量化を目指し、エネルギーの極小化に取り組んでいく。

2. バッテリーリーンなBEV/HEV

スズキは国や地域の再生可能エネルギー化の状況、ユーザーの使用状況に合わせ、最もエネルギー効率が良い選択となる「適所適材な電動車をお客様にお届けする」ことを目指し、小さく効率が良い電動ユニット、小さく軽い電池など「小・少・軽・短・美」を体現し、エネルギーを極少化した電動車を開発していく。

HEV(ハイブリッド車)では、現在ヨーロッパ仕様で採用している48Vマイルドハイブリッドを進化させ、10kW程度のモーターを採用したバッテリーリーンな「48Vスーパーエネチャージ」を開発中だ。

スズキ「10年先を見据えた」技術戦略の説明会
スズキ「10年先を見据えた」技術戦略の説明会

また、BEV(バッテリー電気自動車)用に、小さく軽く高効率なEアクスル、少ないエネルギーで走れる軽いプラットフォーム、そして生活にあった合理的な走行距離を確保する小さな電池パックなどを開発している。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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