史上最速のワーゲンバス! フォルクスワーゲンID.バズ GTX LWBへ試乗 3列シート獲得

公開 : 2024.08.01 19:05

VWの電動ワンボックス、ID.バズに強力なGTX登場 アップデートで3列シートのLWBも追加 余裕の車内空間に安定した走り ワンボックスでは例外的な速さ 航続400km前後 英編集部が評価

ゴルフRを上回る最大トルク LWBも設定

フォルクスワーゲンが、スポーティな仕様のバッテリーEVへ与えるGTXの3文字。大きなワンボックスカーのID.バズにも与えられるとは、当初は想像していなかった。

同社は、2024年にID.バズへアップデートを施したが、その一環としてGTXが登場したのだ。また、先行していたショート・ホイールベース(SWB)に加えて、ロング(LWB)も設定。最大で7シーターまで選べるようになっている。

フォルクスワーゲンID.バズ GTX LWB(欧州仕様)
フォルクスワーゲンID.バズ GTX LWB(欧州仕様)

ID.4やID.5などと同様に、ID.バズ GTXでは2基目の駆動用モーターが追加されパワーアップ。スタイリングも差別化され、駆動用バッテリーの容量は79kWhか86kWhを指定できる。

最高出力は、通常のID.バズでは203psだが、総合339psへ上昇。最大トルクも56.9kg-mへ太くなる。ちなみにこれは、ゴルフRを上回る力強さ。0-100km/h加速は、SWBで6.1秒、LWBで6.7秒がうたわれる。史上最速のワーゲンバスだ。

急速充電能力は、79kWhで180kWまで。86kWhでは200kWへ対応する。最短20分で、残量20%から80%へ回復できるという。航続距離は、まだ発表されていない。

見た目は、通常のID.バズと明確な違いはない。それでも、GTXでは専用のハニカム・フロントグリルを獲得。エアインテークの形状も異なり、各部にGTXのロゴが配される。21インチのアルミホイールも専用品で、プライバシーガラスが標準装備になる。

各部がブラックアウトされ、雰囲気はスマート。スポーティとは呼びにくいけれど。

GTXでは2+2+2の6シーター 余裕の車内空間

ドアを開くと、レッドのステッチが施された、GTX専用のパワーシートとステアリングホイールへ気づく。タッチモニターは12.9インチで、最新バージョンのインフォテインメント・システムが稼働する。

システムの反応は従来より遥かに素早く、アップデートが成功したことを実感する。エアコンの温度調整などを担うタッチセンサー部分には、イルミネーションが内蔵され、夜間でも見やすくなった。実際に押せるハードボタンは少なく、慣れが必要とはいえ。

フォルクスワーゲンID.バズ GTX LWB(欧州仕様)
フォルクスワーゲンID.バズ GTX LWB(欧州仕様)

フォルクスワーゲンがアイーダと呼ぶ、チャットGPTを利用した音声操作システムも実装する。便利に感じるかどうかは、人それぞれかも。

LWBのID.バズ GTXの場合、シートレイアウトは2+3の5シーターか、2+2+2の6シーターから選択可能。GTXを選ばなければ、7シーターも指定できる。

車内空間は、3列目でも大人が不満なく過ごせる余裕の広さ。買い物の荷物を置く場所にも、ほとんど困らないだろう。

荷室容量は、5シーターで1121L。2列目を折りたたむと、2123Lへ拡大する。3列シートの場合は、フロントシート以外を車両から降ろすことが可能になり、巨大な空間を生み出せる。

内装には、低コストを感じる素材がチラホラ。ダッシュボードは全体的に傷がつきやすそうなプラスティック製だし、メタル調の化粧トリムも高級感が乏しい。価格が上昇するGTXだから、もう少し良い素材を希望したくなる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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