【次世代オールシーズンタイヤ】 ダンロップ発表の「シンクロウェザー」 路面状況次第でゴムの特性を最適化

公開 : 2024.07.22 14:00

ダンロップは「次世代オールシーズンタイヤ」との表現で、あらゆる路面にシンクロする「シンクロウェザー」を発表しました。これまでのオールシーズンタイヤの性能領域を確実に凌ぐ製品だと述べています。

オールウェザータイヤ、復権なるか?

日本の降雪地域ではシーズンごとにスタッドレスタイヤと夏タイヤを履き替えることが一般的だ。

一方年に数回しか雪が降らない地域でも、ウインタースポーツを楽しんだり、降雪に対し万全を期すのであれば冬用タイヤへの交換が必要になるのである。

ダンロップ投入の新たなASタイヤ「シンクロウェザー」
ダンロップ投入の新たなASタイヤ「シンクロウェザー」    ダンロップ

そんな面倒なタイヤのルーティンに一石を投じたのがオールシーズン(AS)タイヤだった。以前から存在はしていたが、注目されはじめたのはここ10年くらい。

夏タイヤとしての性能を担保しつつ、雪道でもある程度の走行性能を備えたASタイヤ。だが季節ごとの交換を必要としない便利なアナザーチョイスの現時点の評価は決して高いとはいえない。

今シーズン、ダンロップが投入する新たなASタイヤが「シンクロウェザー」だ。同社はこの新製品を「次世代オールシーズンタイヤ」と呼んでいる。

これまでのASタイヤとの決定的な違いは、温度変化や路面の水の状況によってゴムの特性が最適化されるアクティブトレッド技術が採用されている点だ。

具体的には水に触れると柔らかくなり、しかし低温で硬くなりにくいという、これまでにない特性を持ったゴムによって新たな性能領域に突入したのだという。結果として従来のASタイヤが持っていた性能領域を確実に凌ぐ製品が完成したのだという。

シンクロウェザーが備えているという全方位的な性能をチェックするため、その試走会は今年2月の北海道と5月の岡山の2回に分けて開催されたのである。

スタッドレスの領域に着実に迫る冬性能

2月の旭川、ダンロップのテストコース。試走に使った車輛はAWDのメルセデスGLCとFFのカローラ・ツーリングだった。

シンクロウェザーのトレッド形状はASタイヤによくある大胆なVパターンを幾分細かく複雑にしたような感じ。コンパウンドはスタッドレスほど柔らかくはなかった。最初はGLCで一般道をドライブした。

ダンロップ投入の新たなASタイヤ「シンクロウェザー」
ダンロップ投入の新たなASタイヤ「シンクロウェザー」    ダンロップ

今から8年ほど前、愛車のメルセデスAクラスにASタイヤを履かせていた。圧雪路ではゆっくり走ればグリップはするが、氷にはめっぽう弱く、勾配が出てくれば全く歯が立たなかった。

そして3年目に入った夏にゴムが硬くなりノイズが異常に大きくなったという経験があり、ASタイヤに良い印象がない。

このため今回、圧雪路の途中で度々現れる磨かれた氷の箇所ではかなり慎重に走らせたのだが、ブレーキングでもしっかりとしたグリップが感じられた。また雪と氷の境目を通過した際のグリップ変動がほとんどない点においても信用できると感じたのである。

テストコースではカローラを使いオールシーズンマックスAS1タイヤと比較したのだが、雪上、氷上の性能とも確実に従来品を上回っていることを体感できた。

氷上性能ではもちろんスタッドレスに劣るが、それでも全く掻いてくれない感じではない。もちろん冬の試乗だけでASタイヤの評価は下すことはできないが、冬性能に関してはスタッドレスにグッと近づいているように感じた。

また路面が氷と雪、そして濡れた低温のアスファルトと変化していく状況を自然とやり過ごしている点も好印象だったのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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