これまで以上に「熱い」コンパクト 小改良版 アウディS3へ試乗 333psと新リアデフ獲得!

公開 : 2024.08.03 19:05

ダイレクトな運転を楽しめる小さなサルーン

さて、実際に公道へ出てみよう。

ドライブモードの選択肢として、アウディはダイナミック+モードを追加した。エグゾーストの唸りが1段大きくなり、発進加速を鋭くするため、アイドリング時の回転数が僅かに高くなる。確かに、これは従来以上にエネルギッシュ。

アウディS3 サルーン TFSI クワトロ・ブラックエディション Sトロニック(英国仕様)
アウディS3 サルーン TFSI クワトロ・ブラックエディション Sトロニック(英国仕様)

ダイレクトなフィーリングで、運転を楽しめるパフォーマンス・サルーンだと実感できる。ブースト圧が上昇したことで、パワーデリバリーは熱い。レッドライン目掛けた回転上昇も、ドラマチックになったと思う。

エンジンやエグゾーストのサウンドには、気持ちを刺激するようなビートが伴う。デジタルの技術も借りつつ、5気筒エンジンの響きへ寄せてあることは明らかだ。

従来以上に確かなグリップ力で、身のこなしはフラットな印象が増している。旋回中の反応やバランスも良くなった。調整を受けたフロントアクスルにより、旋回初期は一層シャープ。フロントタイヤが確実に路面を掴み、高いコーナリング速度を叶えている。

知的なリアデフは、旋回をアシスト。パワーを展開してもラインは乱れず、頂点目掛けて食い込んでいくような感覚もある。連続するカーブを高速で縫っていける、ダイナミックでエキサイティングな操縦性だ。

攻め立てるほど、見返りも大きい。従来のS3にあった生真面目さが薄れたぶん、遊び心を受け入れてくれる奥深さが追加された。

好感持てる期待通りの仕上がり

アップデートで、一層高速になったS3。とはいえ、運転の楽しさを犠牲にするほど、シリアスに速さを追求したわけではない点が素晴らしい。過度に目立つような容姿ではない一方で、ドライバーの気持ちには応えてくれ、期待通りの仕上がりといっていい。

アウディの高性能モデルへイメージするより、乗り心地はハードかもしれないが、高揚感は豊か。これまで以上に好感を持てる、熱いモデルへ進化したようだ。

アウディS3 サルーン TFSI クワトロ・ブラックエディション Sトロニック(英国仕様)
アウディS3 サルーン TFSI クワトロ・ブラックエディション Sトロニック(英国仕様)

◯:状況を問わず懐の深い動的能力を楽しめる 安定しつつ敏捷な操縦性 一層強化された個性
△:従来より乗り心地は硬め 5万ポンド(約1020万円)に迫る英国価格

アウディS3 サルーン TFSI クワトロ・ブラックエディション Sトロニック(英国仕様)のスペック

英国価格:4万7490ポンド(約969万円)
全長:4351mm
全幅:1816mm
全高:1441mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.7秒
燃費:12.2km/L
CO2排出量:186g/km
車両重量:1535kg
パワートレイン:直列4気筒1984cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:333ps/5600-6500rpm
最大トルク:42.7kg-m/2100-5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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