【グッドイヤー・タイヤ試乗会】都内&千葉で新SUV専用タイヤをテスト

公開 : 2024.07.23 07:05

グッドイヤーの新しいシティ派SUV専用タイヤ「アシュアランス マックスガードSUV」。斎藤聡がその性能を確かめるべく、都内一般道からアクアライン、房総の海岸沿いまで、テストドライブに繰り出しました。

注目は2プライ・ハイターンバック構造

グッドイヤーから、シティ派SUVユーザー向けのSUV専用タイヤ「アシュアランスマックスガードSUV」が登場した。このタイヤは「エフィシエントグリップSUV HP01」の後継モデルとなる。

カテゴリーとしてはリーズナブルな価格設定のスタンダードタイヤに属するが、ウエット性能、静粛性、耐久性に力を入れて設計されているのが特徴となっている。

ウエットブレーキ性能は先代約6%向上。
ウエットブレーキ性能は先代約6%向上。    田中秀宣

トレッドデザインは4本の主溝を基調にしたリブ(縦のブロック列)デザインを採用。横溝を斜めに配置し、また横溝の位置をずらして配置することでブロックの路面への打音を低減している。さらにトレッド両サイドのショルダー部のブロックにノイズ低減リブを配置。横に漏れるノイズも低減して、静粛性を高めている。

各ブロックには、「マルチバイティングエッジ」と呼ばれるサイプ(極細溝)を施した。これには、ブロック剛性のバランスを整えるとともに、ウエット時にブロックの接地面に入り込む水を排水する効果がある。これによって実接地面積を広げ、ウエットグリップ性能を高める働きを持っている。

トレッドコンパウンドには、低温時やウエット時にグリップ性能を発揮するシリカを配合したアクティブグリップ・キャップコンパウンドを採用。排水性の良さと合わせてウエット性能を向上。先代モデルと比べると約6%ウエット性能の向上を実現している。

構造面では、2プライ・ハイターンバック構造を採用。これは、骨格となるカーカスを2枚構成とし(2プライ)、ビードワイヤー(タイヤとホイールリムが嵌合する部分)での折り返しを高くした(ハイターンバック)構造にすることで、ケース剛性を高めるものだ。重心が高く、比較的重量が重いSUV向けの設計となっている。

少し説明がマニアックになってしまったが、このアシュアランスマックスガードは、スタンダードタイヤとして作られているのだが、様々な既存の技術を取り入れ作りこむことによって、安心で安全でリーズナブルなタイヤに仕立てているのだ。

プジョー2008GT BlueHDと組み合わせて乗り味をチェック

では、実際に口上どおりに仕上がっているのだろうか。試乗はプジョー2008GT BlueHDに純正サイズの215/60R17・96Hの組み合わせで行った。

試乗してまず感じたのは、タイヤの滑らかな転動感と路面からの微細な凹凸感の少なさだ。気持ちよくスルスルとタイヤが転がっている感触が良い。ゴムコンパウンドが比較的柔軟なのだろう。低速域で路面の凹凸をトレッド面(のゴムの柔軟性が)が上手に吸収している感触がある。シリカコンパウンドや、サイプを施して剛性バランスを図ったトレッドブロックが効いているのだろうか。

滑らかさと芯の強さを両立。
滑らかさと芯の強さを両立。    田中秀宣

先代モデルではもう少しゴムの硬さが感じられ、荒れた路面でざらついた乗り味として現われることがあったのだが、アシュアランス マックスガードSUVはタイヤが転がっていく感触が滑らかになっている。

その一方で、芯に腰の強さがあって、路面を軽く踏ん張っているような剛性も併せ持っている。

例えば高速道路のランプウェイなど、大きく曲がりこんだ長いコーナーで、タイヤの変形(感)が少なく、コーナリング中の安定感や安心感がある。またレーンチェンジ時にぐっと踏ん張る感じ、あるいは緩やかなカーブを曲がっているときの小舵角時に路面のうねりや荒れに影響されにくい安定感など、タイヤにストレスがかかった場面でタイヤの骨格の強さが感じられる。

これはよい面だけではなく、例えば今回試乗した2008GTでいうと、高速道では路面の継ぎ目を乗り越えた時にやや強めの突き上げが来るといった、ネガティブと感じられるような面もある。ただ、これはタイヤにかかる荷重に占める割合が大きい。

FFモデルの2008GTだと、後輪の荷重が軽いので症状が表れやすいのだろう。ラゲッジスペースにある程度荷物を積載していると、多少突き上げは抑えられるものと予想できる。

そうした面は見られるものの、カーブやレーンチェンジなど運動性能の面では、ケース剛性の高さが操縦安定性を高め、ドライバーに安心感を与えてくれる。ぐらつかないので運転がしやすいと感じるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤 聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。
  • 撮影

    田中秀宣

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。

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