スコダ・スパーブ 詳細データテスト 広い室内 走りと乗り心地の好バランス 控えめながら満点ワゴン

公開 : 2024.07.27 20:25

走り ★★★★★★★★☆☆

今回、150psのディーゼルを選んだのは、未導入のPHEVと、最近ティグアンで詳しくテストした1.5LガソリンMHEVに次ぐ売れ筋だと、スコダが考えている仕様だからだ。

端的に言えば、静かで、よく働き、良好な燃費を実現しうるポテンシャルを秘めている。ただし、大きなクルマとしては、ややトルクが足りない。

ボディサイズの割にはトルクがやや細いものの、動力性能は日常使いで不満を感じるほどではない。
ボディサイズの割にはトルクがやや細いものの、動力性能は日常使いで不満を感じるほどではない。    MAX EDLESTON

ガソリンはいい選択だし、ディーゼルの市場は大幅に縮小している。それでもスコダが、長距離走行や牽引を主用途とするドライバーを見捨てなかったことはよろこばしい。

コールドスタートから、4気筒エンジンはしつこく唸り、DCTは多少ギクシャクしたり、シフトダウンしたがらなかったりするところがある。しかしながら、フルード類がすべてあたたまると、エンジン音はスムースになり、振動も最低限に。ギアボックスの反応も向上する。

DSGらしくシフトアップが早すぎてエンジン回転を低く保ちたがる傾向はあり、加速しようとするとエンジンが鈍ってから急に吹けることになる。ただし、スロットルを素早く踏み込むと、ギアボックスはシフトダウンすることが一般的で、ディーゼルに期待される太い中回転トルクが使える。

結局のところギアボックスは、出来のいいトルクコンバーターATほどなめらかではないが、十分に良好で、切り返しの際に変速したがらないようなことはめったにない。

動力性能に不満はない。0−100km/hは8.9秒、0-161km/hは23.7秒と、内燃エンジンの実用車としては悪くない数字だ。同じセグメントにもはやディーゼル車が見つからず、メルセデスなどのプレミアムブランドはもっとパワフルなモデルを用意しがちなので、パフォーマンス的なベンチマークを示すのは難しい。当然というべきか、E220dよりは遅い。性能面で同等なのは、生産を終了したプジョー508の2.0Lディーゼル車だ。日常使いなら、力強く走るのもたやすい。

制動力は典型的なもので、コントロールを失わなずに113km/hから45.8mで停止する。ペダルフィールを台無しにする回生ブレーキは備えないので、心地いいくらいプログレッシブだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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