基本整備で数10万km耐える「2JZ」 トヨタ・スープラ(A80) UK版中古車ガイド(2) ストリートのアイコン!

公開 : 2024.08.11 17:46

クラシックとして価値が高まる4代目スープラ 多くが改造されノーマルは激レアに 加速だけでなく操縦性も優秀 基本整備で数10万kmは耐える2JZ型ユニット 英編集部が魅力を振り返る

数10万kmは耐える2JZ型ユニット

4代目トヨタスープラに載る直列6気筒エンジン、2JZ型ユニットは基本的に堅牢。適切なメンテナンスを怠らず、過度なチューニングをしていなければ、数10万kmは耐える。包括的に点検整備を受けてきているか、記録を確かめたいところ。

試乗時は、走行中やアクセルオフ時に排気ガスが過度に濁らないか目視する。黒煙が出る場合は、ターボチャージャーの不調が疑われる。

トヨタ・スープラ(A80型/1993〜2003年/英国仕様)
トヨタ・スープラ(A80型/1993〜2003年/英国仕様)

1基目のターボが機能していないと、4000rpm以下でブースト圧が上昇しない。2基目のターボの場合は、4000rpmで1度ブースト圧が落ちる。その後、再び徐々に圧力は高まるはず。

ブースト圧の不全が、必ずしもターボ自体の故障とは限らない。アクチュエーターの不調という可能性も疑われる。

英国仕様には、排気ガス再循環装置が装備されている。基本的には、エンジンを好調に保つうえで好ましい装備とはいえず、過去のオーナーによって取り外されている場合が殆どのようだ。

ノーマル状態のスープラは非常に数が少なく、改造された部分はその内容を確かめたい。純正状態に近い日本仕様のツインターボに過度なハイフローマフラーを組むと、ブースト圧が25psi以上へ上昇し、エンジンブローを誘発する場合がある。

排気触媒が外された例も存在するが、英国でも車検には通らない。事故でシャシーに被害が及んでいる場合もある。どこが純正状態でどこが改造後なのか、徹底的に調べたい。

低域トルク重視の日本仕様 英国の正規車は673台

1995年式以前の日本仕様では、フロントが2ポッド、リアが1ポッドのブレーキキャリパーが組まれている。後期の大径ブレーキへ交換可能だが、アルミホイールも17インチへサイズアップする必要がある。

英国仕様のブレーキは、初めからフロントが4ポッドで、リアが2ポッドキャリパー。性能は高く、高速域からのフルブレーキングを何度も繰り返せる余裕がある。

トヨタ・スープラ(A80型/1993〜2003年/英国仕様)
トヨタ・スープラ(A80型/1993〜2003年/英国仕様)

また日本仕様には小型のセラミックターボが組まれ、低域トルク重視。公道の速度域では扱いやすい。インジェクターやカム、ECUの設定も英国仕様と異なる。180km/hでリミッターが作動するが、簡単にカット可能なようだ。

ローダウンされた例も多い。もちろん、硬いサスペンションは乗り心地が犠牲になるのと同時に、ボディシェルにも負荷がかかる。

4代目スープラの生産数は、初年度から1994年までは多かったが、その後は鈍化。海外仕様の生産は1998年に終了する一方、日本国内向けには2002年まで続いた。総生産数の7割は日本市場向けで、55%を自然吸気エンジンが占めている。

英国へ正規輸入されたA80型は、673台。レッドやダークブルー、シルバー、ホワイト、ブラックと塗装は多彩で、レザーシートはブラックだけでなくベージュも選べた。日本仕様の場合、さらに選択肢は広かった。タルガトップのオプションもあったほど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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