グレード問わず上質ハッチバック 改良版 アウディA3 スポーツバックへ試乗 プログレ・ステアはオススメ!

公開 : 2024.08.06 19:05

動力性能に不足ナシ プログレ・ステアはオススメ

今回主に試乗したのは、150psの35 TFSI Sトロニック。動力性能に不足はないものの、豊かな余裕を感じるほどではない。1.5L 4気筒ガソリンターボは、常用域では静かに回転する一方、高負荷時にはやや張り詰めたノイズを放つ。許容範囲ではあるが。

同じく150psの35 TDIは、若干ディーゼルノイズが目立つものの、低域トルクは確実に太い。7速デュアルクラッチATとの相性も良く、少しザラついた印象を薄めている。プラグイン・ハイブリッドにも期待がかかる。

アウディA3 スポーツバック 35 TFSI Sトロニック・ブラックエディション(英国仕様)
アウディA3 スポーツバック 35 TFSI Sトロニック・ブラックエディション(英国仕様)

燃費は、35 TDIで20.9km/LとA3のベスト。35 TFSIでも19.2km/Lと悪くない。

アウディは往々にして、ドライバーの気持ちを高ぶらせるような走りの個性を与えることがない。それでも、A3の操縦性は魅力的といえ、主なターゲット層が不満を抱く可能性は低いだろう。

試乗車は、オプションの可変レシオ「プログレッシブ」ステアリングを装備。切込み角度が増えるほどクイックさが増し、回頭性は軽快といえる。駐車場で有効なだけでなく、コーナーが連続する区間では、かなり鋭い反応を引き出せる。

同時に、直進時はすわりが良い。利用条件を問わず、選んで損はないオプションだと思う。ちなみに、電気機械式の速度感応パワーステアリングが標準だ。

ステアリングは、最もスポーティなダイナミック・モードで手応えが明確に増す。切り込むほど不自然な抵抗感を伴うため、デフォルトのままでも良いかもしれない。

どのグレードでも期待通りのプレミアム

サスペンションの構造は、115psの30 TFSIではリアがトーションビーム式。それ以上はマルチリンク式で、乗り心地にはある程度の差があるはず。アダプティブダンパーは、英国では選択できない。

試乗車はブラックエディションで、ホイールはSラインと同じく18インチ。車高が15mm落ちる、スポーツサスも組まれていた。英国のアスファルトでは、ロードノイズが大きめ。乗り心地は硬めながら、不快なほどではないだろう。

アウディA3 スポーツバック 35 TFSI Sトロニック・ブラックエディション(英国仕様)
アウディA3 スポーツバック 35 TFSI Sトロニック・ブラックエディション(英国仕様)

小改良後のA3の英国価格は、約2万9000ポンド(約592万円)から。プラグイン・ハイブリッドの45 TFSIeは、4万ポンド(約816万円)を超える見込み。

装備は充実し、フロントのシートヒーターに加えて、3ゾーン・エアコン、スマホのワイヤレス充電パッドなどが標準。リアシートにも、USB-Cポートが設けられている。Sラインの場合、インテリアの間接照明の色を変更できるようになる。

どのグレードでも、不足ない動力性能と優れた運転体験を得られる、アウディA3。乗り心地は硬めながら、長距離走行で悩まされるほどではない。高価なハッチバックといえるが、期待通りプレミアムな仕上がりにある。

トリムグレードとエンジンを慎重に選べば、きっと理想へ近いA3が見つかるはず。パワフルなS3というチョイスもあるし、追加予定のプラグイン・ハイブリッドを待つというのも一手だ。

ベーシックなスポーツグ・レードが、筆者のイチオシ。金額的にも快適性でも、理にかなった設定だと思う。

◯:経済性とパワーのバランスが良いエンジン 実際より大きく感じる安定感 押しやすいハードボタンが多数
△:エントリーグレードは多少高級感が足りない ディーゼルエンジン+スポーツサスの組み合わせは洗練性で劣る 淡泊なステアリングフィール 少し狭めの車内空間

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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