自然吸気V12でル・マン24時間レース参戦! 英アストン マーティン「ヴァルキリー」テスト開始

公開 : 2024.07.26 06:05

アストン マーティンが2025年のル・マン24時間レースに向け、新型ハイパーカー「ヴァルキリーAMR-LMH」のテスト走行を開始した。1959年以来初となる総合優勝を目指す。

66年ぶりの総合優勝を目指して

自然吸気の6.5L V12エンジンを搭載するル・マン・ハイパーカー(LMH)の姿が初公開された。24時間耐久レースで1959年以来の “完全制覇” を目指している。

英国の自動車メーカーであるアストン マーティンは7月22日、新型「ヴァルキリーAMR-LMH」が2025年の世界耐久選手権(WEC)に向けてテスト走行を開始したことを発表した。

アストン マーティン・ヴァルキリーAMR-LMH
アストン マーティン・ヴァルキリーAMR-LMH    アストン マーティン

アストン マーティンは以前、ル・マンに6台のヴァルキリーをエントリーさせ、優勝の可能性を最大限に高めるとしていた。

当初は2019年にル・マン参戦を表明していたが、その後、計画は白紙に戻された。同社のローレンス・ストロール会長が再びその可能性を示唆したのは2022年のことだった。

ストロール会長はAUTOCARの取材で、「わたし自身もレーサーだ。ずっとそうだった。レースはわたしの血の中にあるもので、だからわたしはここにいる。アストン マーティンが伝えようとしているメッセージに沿ったカテゴリーでレースをするべきだ」と述べた。

ヴァルキリーAMR-LMHは、現在スポーツカーレースのGT3クラスに参戦している米国のスポーツカーチーム、ハート・オブ・レーシング(Hart of Racing)とパートナーシップを結んで走る。

既存の市販車ヴァルキリーをベースにした初めての耐久レーサーとなる。車両開発には、F1への参戦で培った「複雑な知識ベース」が活かされる。最終的にはロードカーにも反映されるとストロール会長は言う。

アストン マーティン・パフォーマンス・テクノロジーズの技術責任者であるアダム・カーター氏は、「当社はヴァルキリーとともにスポーツカーレースのトップクラスに舞い戻る」とし、「パートナーとともに、このクラスのベンチマークマシンと肩を並べて戦えるポテンシャルと性能を備えたレースカーを提供できると確信しています」と述べた。

ヴァルキリーAMR-LMHは、車重1500kgのヴァルキリーAMRプロよりも軽量化される予定で、空力効率を可能な限り高めることに重点が置かれる。

コスワース製6.5L V12エンジンの今後の展開について尋ねられたカーター氏は、「絶対にないとは言い切れませんが、現時点では他に目処は立っていません」と答えた。このエンジンはヴァルキリー専用に開発されたもので、他のロードカーには搭載されていない。

カーター氏はまた、ヴァルキリーAMR-LMHの開発はアストン マーティンの電動化計画(長期的にEVへ移行)にも強い影響を与えるだろうと述べた。特に軽量化と耐久性においては大きな意味を持つという。

アストン マーティンがモータースポーツ、とりわけ耐久レースに参加する主な理由の1つは、高級ブランドであることとレースの名門ブランドであることの「相乗効果」を生み出すためだとされている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事