大胆スポーティな「新型5ドア・ハッチバック」 VWゴルフの個性派ライバル、欧州導入か

公開 : 2024.07.29 18:05

キアは新型ハッチバック「K4 5ドア」の販路を拡大し、激戦区の欧州市場に導入する可能性がある。VWゴルフやトヨタ・カローラと同クラスで、ダイナミックなデザインを特徴とする。

米国向けモデル、欧州にも進出?

キア(起亜)は大胆なデザインを持つ新型ハッチバック「K4 5ドア」を、欧州市場に投入する可能性がある。フォルクスワーゲン・ゴルフに挑む構えだ。

新型K4は、北米、アジア、中東で、リフトバックと5ドア・ハッチバックの2種類のボディタイプで販売される。パワートレインは最高出力147psの2.0Lガソリンエンジンと、最高出力200psの1.6Lターボガソリンエンジンを設定する。

キアK4 5ドアGTライン
キアK4 5ドアGTライン    キア

K4 5ドアはキアの新世代デザイン「オポジット・ユナイテッド」を採用し、シャープで力強い、ダイナミックなエクステリアとなっている。リアのサイドドアのハンドルはCピラーに隠れるように配置され、3ドアに近い印象を与える。また、各ピラーにブラックのトリムを挿入し、ルーフが浮いているように見せている点も特徴的だ。

この5ドア・ハッチバックが最近、ドイツ・ラッセルスハイムにあるキアの技術開発拠点近くでテストしているところを目撃されている。キアの広報担当者はAUTOCARの問い合わせに対し、現在のところ欧州への導入計画はないと述べたが、導入の可能性を示す兆しはある。

K4と同じような位置づけにあるシード(Ceed)は、2018年に発売され、やや旧式化しつつあるものの欧州で好調な販売を続けている。調査会社ジェイトー・ダイナミクスの発表によれば、5ドア・ハッチバックのシード、クロスオーバータイプのクロスシード(Xceed)、シューティングブレークのプロシード(Proceed)を合わせた今年の販売台数は現時点で6万478台だ。

これは、フォード・フォーカス(今年現時点での販売台数4万7582台)、プジョー308(同5万1656台)、トヨタカローラ(同7万701台)など主要ライバル車と肩を並べる実績だ。

SUVが人気を集める中、シードのようなモデルもまだまだ有力であることを示唆している。ワンクラス上のスポーテージ(Sportage)は同期間に8万7164台が販売された。

EV需要鈍化に対応か

一般的なモデルサイクルを8年と仮定すると、シードは2026年頃にフルモデルチェンジを迎えることになる。しかし、シードの次期型に関する計画は発表されておらず、他のモデルが後継にあてがわれる可能性がある

シードと似たプロポーションを持つモデルに新型EV3(全長4.3m、全幅1.8m、5ドア)があるが、欧州でのEV需要が多くのメーカー予想を下回っていることから、内燃機関を搭載したK4に白羽の矢が立つかもしれない。

欧州で目撃されたキアK4 5ドアのプロトタイプ
欧州で目撃されたキアK4 5ドアのプロトタイプ    AUTOCAR

キアは最近、「EV需要の変動に対応するため」に各市場でハイブリッド車を増やすと表明している。K4にはまだハイブリッド・パワートレインは搭載されていないが、今後追加される可能性はある。

K4はメキシコで生産される。一方、スロバキア・ジリナにある現行シードの生産工場では、新しいEVモデルの生産に徐々に移行する。キアは2030年までに年間160万台のEVを販売する目標を掲げており、小型の新型EV2を同工場で生産する予定だ。

ジリナ工場の生産能力は年間35万台。EV2が目論見通りの成功を収めれば、シードの生産縮小を余儀なくされ、代わりにK4を輸入する可能性が高まる。

記事に関わった人々

  • チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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