英国ではRAV4やZR-Vのガチ・ライバル 3代目が小改良 フォード・クーガ 2.5 PHEVへ試乗

公開 : 2024.08.10 19:05

1.9tの車重の割に俊足 優れた姿勢制御

電動化技術が載ることで、クーガ 2.5 PHEVの車重は1859kgと軽くない。それでも実際の加速力は、馬力から想像する通りの勢いがある。0-100km/h加速は7.3秒と、クロスオーバーとしては俊足。CO2の排出量は23g/kmで、最高速度は201km/hに届く。

ただし、アクセルペダルをやや強めに踏んだだけで、CVTがエンジンの回転数を必要以上に高める印象がある。うるさいだけでなく、振動も伴う。

フォード・クーガ ST-ラインX 2.5 PHEV(英国仕様)
フォード・クーガ ST-ラインX 2.5 PHEV(英国仕様)

もしそれが気になる場合は、EVモードでの走行も可能。今回の試乗では、ガソリンを燃やさず65km走ることができた。静かでレスポンシブで、小気味いい。

駆動用バッテリーの搭載位置は低く、前後アクスル間に収まっているため、重心バランスは良好。優れたグリップ力を有し、カーブではボディロールが驚くほど小さい。日常的な速度域でも、この事実は体感できるだろう。

トップグレードのST-ラインには、スポーツサスペンションが組まれる。その名の通りスポーティな設定ながら、凹凸の吸収性は明らかに低下する。乗り心地は明確に硬くなり、速度抑止用のスピードバンプでは、不快な揺れも伝わってくる。

筆者は、通常のサスペンションがクーガには適していると思う。グレードを選ぶ前に、試乗されることをオススメしたい。

クラス平均より上の動的能力 コスパ良好

郊外の道では、ステアリングの正確性や直感性で、フォード・フォーカスに届いていないことへ気づく。ステアリングホイールは、切り始めからクイック過ぎ、80km/h以下の速度域では自然な印象が薄い。車線中央を維持することへ、気を使ってしまう。

そのかわり、高速道路の速度域では安定性が増す。乗り心地も滑らかになり、洗練という言葉が浮かんでくる。唯一、タイヤの転がり音は少し大きく感じられた。

フォード・クーガ ST-ラインX 2.5 PHEV(英国仕様)
フォード・クーガ ST-ラインX 2.5 PHEV(英国仕様)

アップデートで、競争力が補強されたフォード・クーガ。パワートレインの洗練性や、インテリアの雰囲気などが、まだクラストップの水準へ届いていないことは否めない。

それでも以前と変わらず、コストパフォーマンスに優れる実用的なファミリー・クロスオーバーだといっていい。動的能力も、クラス平均より上にある。

◯:重い駆動用バッテリーを積んでいても安定した操縦性 定期的な充電で燃費を伸ばせる 不足ない動力性能
△:インテリアの質感 パワートレインの洗練性 クイック過ぎるステアリング

フォード・クーガ ST-ラインX 2.5 PHEV(英国仕様)のスペック

英国価格:4万2455ポンド(約866万円)
全長:4645mm
全幅:1882mm
全高:1683mm
最高速度:201km/h
0-100km/h加速:7.3秒
燃費:100.0km/L
CO2排出量:23g/km
車両重量:1859kg
パワートレイン:直列4気筒2500cc 自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:243ps(システム総合)
最大トルク:20.2kg-m(内燃エンジン)
ギアボックス:e-CVT(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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