「半世紀」の歴史が生む熟成 BMW 5シリーズ(6代目/F10) UK中古車ガイド 7シリーズと基礎を共有

公開 : 2024.08.09 19:05

半世紀近い歴史で熟成された、6代目BMW 5シリーズ 7シリーズとプラットフォームを共有し車内は広々 燃費重視のディーゼルからパワフルなV8まで 英編集部がF10型の魅力を振り返る

半世紀以上の歴史を持つ上級サルーン

BMW 5シリーズの歴史は、1972年に遡る。半世紀以上の歴史を持つ上級サルーンだ。2009年から2017年にかけて提供されていた、6代目のF10型5シリーズが熟成された内容にあったとしても、不思議ではない。

レシピは既に完成していたといえ、当時のAUTOCARは上質な車内や洗練された操縦性を特に評価している。やや特長が薄いスタイリングや、サスペンションの詰めが甘いことも、指摘しているが。

BMW 5シリーズ・サルーン(6代目/F10型/2009〜2017年/英国仕様)
BMW 5シリーズ・サルーン(6代目/F10型/2009〜2017年/英国仕様)

F10型の5シリーズは好調に売れ、英国の中古車市場を調べてみると、多くの選択肢で悩めることがわかる。燃費自慢の520dなら、走行距離の長い例で約3000ポンド(約61万円)から。好条件の523dは、約1万9000ポンド(約388万円)だ。

もちろん、BMWならガソリンエンジンが良いという人も多いはず。英国ではディーゼルほど売れなかったが、2.0L 4気筒ターボから4.4L V8まで、複数から選べる。別格のM5も存在する。

当時のAUTOCARが高く評価したのは、2.0L 4気筒ガソリンターボの528i。最高出力は245psで、0-100km/h加速を6.2秒でこなした。ディーゼルターボの520dも、燃費が良いだけでなく洗練されている。

530dも優秀で、0-100km/h加速5.8秒と動力性能も充分。535dは更に加速が鋭く、公道でのレスポンスは印象深い。

2013年から、ディーゼルエンジンは環境規制のユーロ6へ対応。同時期にフェイスリフトも受け、スタイリングが更新された。ヘッドライトやアイドリングストップ機能、電子ハンドブレーキ、8速ATなどが改良されている。

7シリーズとプラットフォームを共有

英国仕様のF10型5シリーズは、6速MTが標準設定だった。シフトレバーの動きは軽く引き締まり、扱いやすい。

オプションとしては、アクティブ・ステアリングに後輪操舵システム、アクティブ・アンチロールバーなどが用意されていた。いずれも高価で、装備率は低いようだ。それでも、アダプティブダンパーは探す価値がある。乗り心地や操縦性が、1ランク上になる。

BMW 5シリーズ・サルーン(6代目/F10型/2009〜2017年/英国仕様)
BMW 5シリーズ・サルーン(6代目/F10型/2009〜2017年/英国仕様)

F10型の特徴といえたのが、7シリーズとプラットフォームを共有したこと。ホイールベースは短縮されているものの、広々とした車内を強みとした。特にリアシート側はゆとりがある。

インテリアの仕上げは美しく、装備も充実している。エントリーグレードでも、英国仕様ではデュアルゾーン・エアコンに6.5インチのインフォテインメント用タッチモニター、レザーシート、パーキングセンサーなどが備わった。

その1つ上がラグジュアリー。BMWプロフェッショナル・マルチメディア・システムに、Mスポーツ仕様の内装、パワーシート、Mスポーツ・アルミホイールとスポーツサスペンションが組まれる。

惜しいのが、右へ若干オフセットしたペダルレイアウト。それでも、心地良いシートで快適な姿勢に落ち着ける。お望みのエンジンを選択し、サスペンションとホイール・サイズに注意すれば、望ましいドライバーズサルーンを我が物にできるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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