「半世紀」の歴史が生む熟成 BMW 5シリーズ(6代目/F10) UK中古車ガイド 7シリーズと基礎を共有

公開 : 2024.08.09 19:05

新車時代のAUTOCARの評価は

F10型のBMW 5シリーズは、間違いなく完成度が高い。特定の分野で明確な強みがあるというより、能力の幅が平均的に高いといえる。

洗練されていて、車内空間は広く、燃費は良好。乗り心地も基本的には良い。万能のサルーンをお探しなら、積極的に検討してみて欲しい。(2012年2月5日)

BMW 5シリーズ・サルーン(6代目/F10型/2009〜2017年/英国仕様)
BMW 5シリーズ・サルーン(6代目/F10型/2009〜2017年/英国仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

アラン・ウェルズ氏

「528iを所有してから、8年が経過します。登録は2013年で、走行距離は17万5000kmを過ぎた辺り。自分が住んでいる地域は余り舗装が良くないのですが、走りはとても安定していますね」

BMW 5シリーズ・サルーン(6代目/F10型/2009〜2017年/英国仕様)
BMW 5シリーズ・サルーン(6代目/F10型/2009〜2017年/英国仕様)

「サスペンションのスプリングは3回交換しています。ひび割れるんですが、この症状は珍しくありません」

「長距離クルーザーとして安楽なだけでなく、乗り心地も快適。高速道路での燃費は、13.1km/Lくらい。前回の点検・整備には300ポンド(約6万円)を支払いましたが、この程度で済んでいるといえます」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

ディーゼルエンジンでは、2014年式以前のユニットで、ターボ・ウェイストゲートの固着へ注意したい。この年式ではタイミングチェーン・テンショナーの劣化も早く、カタカタと異音がないか確かめたい。

英国では、2011年に排気再循環 (EGR)クーラーのリコールが出ている。対策済みか確認したい。

BMW 5シリーズ・サルーン(6代目/F10型/2009〜2017年/英国仕様)
BMW 5シリーズ・サルーン(6代目/F10型/2009〜2017年/英国仕様)

ガソリンエンジンでは、可変バルブタイミング・システム(ヴァノス)の不調で、アイドリング時の異音や、パワーの低下を招くことがある。高圧燃料ポンプと直噴モジュールは、故障しやすいようだ。

トランスミッション

AT車の場合は、低速走行時にシャフトから振動が出ないか確かめたい。MT車では、エンジンマウントがヘタると、走行中にギアが抜けてしまうことがある。走行距離が長い例では、クラッチとデュアルマス・フライホイールの交換も検討したい。

ステアリングとサスペンション

アダプティブダンパーが装備されている場合は、モードで減衰力が変わるか確かめる。サスペンションアームや電動パワーステアリングからの異音、コイルスプリングのひび割れなどもチェックポイント。

タイヤとホイール、ブレーキ

タイヤが偏摩耗していないか、ホイールが腐食していないか観察する。ブレーキパッドとディスクの厚み、キャリパーの固着などにも注意したい。

ボディ

ボディの修復歴を観察する。再塗装され、部分的に色が若干違っていることも。

インテリア

エアコン・コンデンサーの故障は珍しくなく、冷風が出るか事前に調べておきたい。ドアのシールが劣化し、車内へ雨水が流れる場合がある。フロアが不自然に湿っていないか確認したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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