アルファ・ロメオ・モントリオールの「未来的」特別感 「純粋」に運転が面白いポルシェ911 S 2.4 (2)

公開 : 2024.08.17 17:46

アルファ・ロメオの隠れた名車、V8エンジンのモントリオール 901型の走行性能を極めたポルシェ911 S 2.4 郊外の開けた道で素晴らしい魅力を放つ 1970年代の2台を英編集部が乗り比べ

近未来的で特別なモントリオールの車内

アルファ・ロメオ・モントリオールは、大胆なスタイリング同様にインテリアも近未来的。大きな2面のメーター内に、複数の補助メーターが一体化されている。

スイッチが整然と並び、ドアやダッシュボード、ステアリングホイールのトリムがエキゾチック感を醸し出す。派手すぎず華やかで、イタリアンな仕上がりだ。

アルファ・ロメオ・モントリオール(1970〜1977年/欧州仕様)
アルファ・ロメオ・モントリオール(1970〜1977年/欧州仕様)

素材は上質で、作り込みも良い。モントリオールに座ると、1970年代の理想的な車内だと納得できる。運転姿勢も自然。コブの並んだシートは座り心地が良く、広い視界が得られる座面高で、NACAダクトの開いたボンネットを程よく見下ろせる。

ポルシェ・マニアの贔屓目でなければ、モントリオールの方がインテリアは特別だと感じるだろう。実際に走り出しても、人間工学の正しさと快適性へ感心できる。唯一、低速域ではステアリングホイールが重すぎる。パワーアシストが恋しくなるほど。

5速マニュアルのシフトレバーはキビキビと動かせ、手応えに充足感がある。市街地を流す程度でも、2.6L V8エンジンのサウンドは美しい。アイドリング時から滑らかに回り、アメリカン・ユニットのようなドロドロという唸りはなく、音の粒が細かい。

排気音は、回転数の上昇とともに聴き応えのある雄叫びへ変化していく。0-96km/h加速は7.5秒で、充分に鋭く洗練されている。

スタイリングと一致しないボディロール

高い速度域でも、モントリオールの乗り心地は落ち着いたまましなやか。路面の凹凸を巧みに吸収してくれる。ステアリングは、徐々に扱いやすい重さへ変化し、フィードバックも濃くなる。やや遊びは大きいけれど。

減速を最小限にしてカーブへ突っ込むと、若干不安定に転じ、アンダーステアも現れる。スーパーカー的なスタイリングと、大きめのボディロールが一致しない。

アルファ・ロメオ・モントリオール(1970〜1977年/欧州仕様)
アルファ・ロメオ・モントリオール(1970〜1977年/欧州仕様)

この頃のアルファ・ロメオ・ジュリアも、優れた操縦性に定評はあったが、同様に横方向の傾きが大きかった。車重がそれよりかさばるモントリオールでは、素早い荷重移動が難しいようだ。

連続するカーブでは、小さくない慣性を実感してしまう。開発には4年が費やされ、生産は1970年から7年間続いたが、最後までこの特性は変わらなかった。

欧州では、サスペンションのチューニング・アイテムが社外メーカーから提供されていた。1973年に起きたオイルショックが、アルファ・ロメオから改良する気持ちを奪ったのかもしれない。

そんなことを思いながらポルシェ911 S 2.4に乗り換えると、見事な身のこなしに感心してしまう。スターターモーターを長めに回し、アクセルペダルを軽く煽りながら、2.4L空冷フラット6は目覚める。

始動直後のノイズは、ガラガラと聞き慣れた空冷サウンド。興奮を誘うものとはいいにくいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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