アルファ・ロメオ・モントリオールの「未来的」特別感 「純粋」に運転が面白いポルシェ911 S 2.4 (2)

公開 : 2024.08.17 17:46

郊外の道で素晴らしい魅力を放つ2台

細くて長いシフトレバーは、ステアリングホイールのすぐ隣。ストロークは長めで、素早くゲートへ導くには練習が必要といえる。ステアリングは完璧に正確で、感触が濃い。フロントアクスルが受ける荷重は小さく、低速域から軽く回せ、反応は素早い。

乗り心地はモントリオールより僅かに硬めだが、コーナリングは遥かにフラット。機敏で落ち着いている。このシャシーが、優れたステアリング・レスポンスやブレーキングも生んでいる。

ポルシェ911 S 2.4(901/1972〜1973年/欧州仕様)
ポルシェ911 S 2.4(901/1972〜1973年/欧州仕様)

フラット6の回転数が高まると、メカニカルな響きがクレッシェンド。パワーの増大とともに、興奮を誘う加速が始まる。0-96km/h加速は6.2秒で、モントリオールより1秒以上も鋭い。洗練性はやや劣るかもしれないが、間違いなく走りは面白い。

他方、視覚から受ける情感が薄いことも否定できない。象徴的なシルエットながら、見慣れてもいる。乗った瞬間から魅了される、モントリオールほど特別な気分になれるわけではない。

この2台の個性は、面白いほど異なる。それでも、交通量の少ない郊外の道で素晴らしい魅力を放つという点で共通している。

純粋なドライビング・プレジャーを求めるなら、911 S 2.4は当然の選択肢になるだろう。それでも、ドラマチックさや非日常感をクラシックに求めるなら、モントリオールの方がベターかも知れない。夏休みの長距離旅行も快適にこなせる。

アルファ・ロメオらしく、ある程度の妥協はある。しかし、多くの例とは異なる喜びも享受できる。

協力:ニック・アールダーリング氏、ギャラリー・アールダーリング社

モントリオールと911 S 2.4 2台のスペック

アルファ・ロメオ・モントリオール(1970〜1977年/欧州仕様)

英国価格:5549ポンド(新車時)/14万ポンド(約2856万円/現在)以下
生産数:3925台
全長:4216mm
全幅:1676mm
全高:1204mm
最高速度:218km/h
0-96km/h加速:7.5秒
燃費:6.0km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1270kg
パワートレイン:V型8気筒2593cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:202ps/6500rpm
最大トルク:23.8kg-m/4750rpm
トランスミッション:5速マニュアル(後輪駆動)

ポルシェ911 S 2.4(901/1972〜1973年/欧州仕様)

英国価格:5675ポンド(新車時)/15万ポンド(約3060万円/現在)以下
生産数:5054台
全長:4146mm
全幅:1613mm
全高:1320mm
最高速度:233km/h
0-96km/h加速:6.2秒
燃費:8.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1090kg
パワートレイン:水平対向6気筒2341cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:192ps/6500rpm
最大トルク:21.9kg-m/5200rpm
トランスミッション:5速マニュアル(後輪駆動)

アルファ・ロメオ・モントリオール(1970〜1977年/欧州仕様)
アルファ・ロメオ・モントリオール(1970〜1977年/欧州仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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