【ラージ商品群・国内第2弾】マツダ積年の夢を叶えるモデル CX-80開発者インタビュー

公開 : 2024.08.23 06:05  更新 : 2024.08.23 09:15

アメリカのマスの市場を手堅く狙うのがラージ商品群

柴田:また、ラージ商品群は、アメリカの市場を含んでいます。そのためマツダとしては、かなりの台数になるはず。ですから、単発でチャレンジして、失敗したら終わりというものではなく、もう収益の基盤をここ(ラージ商品群)で稼がなければいけない! というほど、腰の入ったものです。

また、アメリカのSUVの3列というと非常に市場が大きいんですね。ですから、ラージ商品群があって、ようやく、そのど真ん中に投げられるボールを持つことができたというところがあります。

「収益の基盤は、ここです」と主査の柴田浩平氏。
「収益の基盤は、ここです」と主査の柴田浩平氏。    小川和美

鈴木:日本市場では、“大きすぎて大丈夫?”と思うかもしれませんが、確かにアメリカで考えると、ラージ商品群はミディアムサイズで、ボリュームの大きい市場に対する商品になりますね。では、そんなアメリカ市場において、すでに販売されているラージ商品群(CX-90)は、どのような状況なのでしょうか?

柴田:マツダのラージ商品群のスポーティな路線はわかりやすいようで、好評を得ています。排気量アップもわかりやすく、アメリカのお客様に理解いただけているようです。

CX-80」のパッケージングは実のところ厳しい

鈴木:アメリカ向けの3列シートの「CX-90」と日本向けの「CX-80」の違いは何ですか?

柴田:日本国内では従来の「CX-8」のサイズ感がギリギリの寸法だと思っています。もっと大きな輸入車もありますが、そうなると売れるのは、ほんの一握りになってしまいます。ですから、手の内で操れるギリギリのサイズに収めたというのが「CX-80」になります。

「CX-80はやることがたくさんあるクルマでした」と、パッケージング担当の高橋達也氏。
「CX-80はやることがたくさんあるクルマでした」と、パッケージング担当の高橋達也氏。    小川和美

高橋達也氏(以下・高橋):ただ、「CX-80」に使うコンポーネントは、もっと大きな「CX-90」と同じなので、パッケージングの難易度が上がります。エンジンは大きいし、床下にバッテリーもありながら、それでも外寸は決まっています。さらに室内寸法が「CX-8」よりも狭くなっては、お客様はがっかりします。「CX-80」は、「CX-8」よりもやることがたくさんあるクルマでした。

鈴木:室内空間でいえば、FRの「CX-80」よりもFFの「CX-8」の方が楽ということですね。

高橋:その通りです。

鈴木:ただ、撮影で室内を覗いてみると、「CX-8」よりも幅と足元が広く感じました。

高橋:そこを感じてもらえると、非常に嬉しいです。車両の外側の幅に比べて、中の幅が広いんですね。パッケージングで頑張ったところです。注目してほしいのはサードシートです。しっかりと大人が座れる空間がそこにあるのが勝ちだと思っていますので、「CX-8」以上の広さを感じてもらえる空間づくりを徹底しました。窓を大きくパノラマルーフがあることで、採光性が高く、明るさが大幅にアップしています。また、頭上まわりを30mm増やしているので、圧迫感もなくなっています。視野の広がりがあります。

懐の深いクルマとして、様々な使い方に対応する

鈴木:最後になにかアピールはありますか?

柴田:今回の取材会では、実際に走行していただくことはできませんでした。ただ、走りに関しては、熟成を重ねてきています。ドイツのニュルブルクリンクにも持ち込んでガンガンやっています。そこは期待してほしいですね。

また、ラージ商品群は、6気筒エンジンとプラグインハイブリッドの走りがありながら、室内も上質で広々としています。ぜひ、いろいろな生活の広がりを、このクルマで感じてほしいですね。

高橋:主査である柴田が、たびたび口にしているように、「CX-80」は、懐の広いクルマだと思います。一人で運転しても楽しいし、その後ろにサーフボードが乗っててもいい。もう一組の友達を誘って、荷室をワゴンのように使ってもらってもいい。なんなら、もう一組誘って、3組であまり荷物のいらないグランピングに来てもいい。本当に、いろいろな使い方ができると思います。

単なる多人数乗車ではない、懐の深さを感じていただけると、すごくいいかなと思います。

記事に関わった人々

  • 執筆

    鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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