【ラージ商品群・国内第2弾】ナローであることの意味と魅力とは マツダCX-80デザイナーインタビュー

公開 : 2024.08.24 06:05  更新 : 2024.08.24 10:41

ナローならではの魅力

鈴木:造形に使える寸法が小さいのに抑揚がすごくある。それは、どういう工夫なのでしょうか?

玉谷:僕らが表現するのは、リフレクションであり光です。立体の張りを、丸くしたい、四角くしたいという単純な話ではありません。

「光をアーティスティックに、生命感あるように動かす」のがポイント。
「光をアーティスティックに、生命感あるように動かす」のがポイント。    小川和美

いかに、光をアーティスティックに、生命感あるように動かすのか? そのためには、どういう角度の面が必要なのかを考えています。

光は、垂直に近いところで、わずかに上を向くか、下を向くかで大きく違うんですね。角度が、ほんのちょっと違う方が、光は早く移動するんです。大きくふくよかな面があるだけでは、光があるところに集まって終わってしまいます。そこを、面の上から下まで通すように工夫することで、迫力が出ます。

鈴木:素直に大きな面にすると大味になってしまうということですね。FRプラットフォームというパッケージングで不利なものを使いながらも、外寸を大きくせず、造形も使える寸法もほとんどない。そうした厳しい条件のもとで生み出したのが、緊張感のある抑揚だったということですね。

玉谷:そうです。実際には凹凸の少ない平板な面であっても光をダイナミックに動かし、周囲の景色を写し込んで魅力を生み出しています。リフレクションや、光を表現するということは、塊を作るとは次元が違うんですね。

ですから、僕らのクルマを、何も反射しないスタジオに持ち込んでも、なんの魅力もありません。周りの環境を写し込んで美しくなるのです。微妙な、針の穴を通すような戦いをしているのです。

記事に関わった人々

  • 執筆

    鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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