英国 “平凡車” コンクールで旧型トヨタ・ハイラックスが優勝 イチゴ農家から買った「実用車」

公開 : 2024.07.31 06:05

ありふれた平凡なクルマにスポットライトを当てる英国のコンクール「ハガティ・フェスティバル・オブ・ジ・アンエクスペクショナル」で、1982年のトヨタ・ハイラックスが優勝した。保存状態は非常に良好だ。

ありふれた「普通のクルマ」にスポットライト

1970年代から1990年代までの一般的なクルマを称える英国の自動車コンクール「ハガティ・フェスティバル・オブ・ジ・アンエクスペクショナル」で、1982年式のトヨタハイラックスが優勝した。

保険会社ハガティが主催するコンクールは、今年で10周年を迎えた。2021年からはリンカンシャー州のグリムストープ城で開催されている。高級車や希少車ではなく、1969年から1999年までに生産された、ごくありふれた車両にスポットライトを当てている。

コンクールで優勝したミッチ・ルイスさんの1982年式トヨタ・ハイラックス
コンクールで優勝したミッチ・ルイスさんの1982年式トヨタ・ハイラックス

今年優勝したのはミッチ・ルイスさんが所有するハイラックスで、イチゴ農園で使用されていたところを老婦人から購入した。購入時の走行距離は1万6000kmほどで、その後さらに同じ距離を走った。車体にはイチゴ運搬用の容器が当たってできた小さなへこみが残っているが、それ以外は「洗車だけ」でコンクールに参加したという。

ルイスさんは優勝を受けて、「最高でも下位の賞を期待していました。まさか1位になるとは。素晴らしいクルマだし、僕の誇りであり喜びでもある。とても気に入っています」と話す。

コンクールの審査員を務めたジョン・ベントレー氏は、「ほとんどのハイラックスは酷使され、最終的にはスクラップにされてしまいます。しかし、この1台は農場で使われる中でしっかり保存されてきました」と述べた。

「多くの仕事をこなしながら、とても優しく扱われてきた。同時代のクルマがすべて姿を消したにもかかわらず、このクルマは完璧で名誉あるコンディションを保っています。それゆえ、例外的(エクスペクショナル)なものが生き残り、例外的でなくなった(アンエクスペクショナル)のです」

審査では「間違いなく世界最高の1台」と総括された。審査にはAUTOCARのスティーブ・クロプリー編集長も参加している。

今年のコンクールには4000人以上が参加し、約2000台のクルマが集まった。優勝したハイラックスの他に、ザスタバ・ユーゴ、ボルボ145、ヴォグゾール・ノバなどが最終選考に残っていた。

2位はエイミー・ジェインさんのルノー・クリオで、レトロ・レップモービル賞はドイツのハノーバーからやってきた日産プリメーラに贈られた。また、フィアット・パンダシトロエン・ヴィザ、オースチン・メトロが優秀賞に選ばれた。

コンクールの意義について、ベントレー氏はこう語っている。「ショーのポイントは、ごく普通の日常的なクルマが保存されているということです。普通は保存しようとは思わないので、ひっそりと消えてしまいます。しかし幸運なことに、かつてごく平凡だったものを保存している熱心な人々がいます。フェラーリランボルギーニのような、みんなが憧れるクルマではありません。ただ永く生きているだけなのです」

ハガティ・フェスティバル・オブ・ジ・アンエクスペクショナルは2014年にノーサンプトンシャー州ウィトルベリー・パークで初めて開催されて以来、パンデミックの影響を受けた2020年を除いて毎年開催されている。過去の受賞車には、日産チェリー・ヨーロッパGTi、モーリス・マリーナ、ヴォグゾール・アストラ、プロトン・サルーン、ダイハツ・アプローズなどがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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