「ワン」超えの0-100km/h 2.8秒 メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンスへ試乗 歴代最速なV8 HV

公開 : 2024.08.12 19:05

鋭く落ち着いたコーナリング 乗り心地も優秀

ダウンフォースは効果的で、試乗したアウトバーンでの約300km/hでも不安なし。回生ブレーキが駆動用バッテリーの充電量を保ち、モーターがたくましくアシストする能力にも感心させられた。一定の速度でクルージングするような状態でも。

流れの速い郊外の道では、フロントアクスルがカーブでの旋回をリードする。ステアリングホイールは軽く操れるが、フィードバックは薄めといえる。

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス(英国仕様)
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス(英国仕様)

サスペンションには油圧アクティブダンパーが採用され、ボディロールを抑制。軽量なGT 63級の積極性まではないとしても、鋭く落ち着いたコーナリングを叶えている。

後輪操舵システムは、アンダーステアを抑え込みつつ、反応は驚くほどニュートラル。アクセルペダルを踏み込めば、トルクベクタリングが機能し、ラインを維持したまま出口めがけて加速していく。トラクションも素晴らしい。

ブレーキペダルの感触は、回生ブレーキの影響か、踏み初めで若干曖昧。圧力を高めていくとソリッド感が増し、フロントの直径が420mmというカーボンセラミック・ディスクが凄まじい制動力を生み出す。スタビリティ・コントロールの制御も巧みだ。

高度なダンパーの技術により、乗り心地は驚くほどしなやか。大径ホイールの影響で、ロードノイズは大きめだが。

GT 63 S Eパフォーマンスの英国価格はまだ明らかになっていないが、約19万ポンド(約3876万円)が予想されている。既存のGT 63 S 4マティック+から、2万5000ポンド(約510万円)ほど上昇するようだ。

車重や技術的な複雑さを考えれば見事な完成度

電気だけでの走行能力を獲得した、プラグイン・ハイブリッドのGT 63 S Eパフォーマンス。極めて速いだけでなく、動的能力全体が優れることは明らかだ。

ただし、非ハイブリッドのGT 63と比較して、即時的な反応や味わい深い個性などで及ばないことも事実ではあるだろう。荷室の広さが生む実用性も。

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス(英国仕様)
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス(英国仕様)

とはいえ、その車重や技術的な複雑さを考えれば、見事な完成度にあることは間違いない。何しろ、メルセデスAMGの量産モデルで最速なのだ。

◯:落ち着いた雰囲気のスタイリング 圧倒的な速さと印象的な動的能力 +2のリアシートによる実用性
△:英国の一般道では乗り心地は硬め やや過剰気味のレスポンス インテリアデザインは初代の方が印象的

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス(英国仕様)のスペック

英国価格:約19万ポンド(約3876万円/予想)
全長:4544mm
全幅:1939mm
全高:1261mm
最高速度:320km/h
0-100km/h加速:2.8秒
燃費:12.5km/L
CO2排出量:188g/km
車両重量:2125kg
パワートレイン:V型8気筒3982cc ツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:816ps/5750-6500rpm(システム総合)
最大トルク:135.1kg-m/2500-4500rpm(システム総合)
ギアボックス:9速オートマティック(エンジン)+2速オートマティック(電気モーター/四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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