ロータス・エレトレ 詳細データテスト 価格を超えた高級感 大きすぎるボディ シャシー制御は要改善

公開 : 2024.08.03 20:25

走り ★★★★★★★★☆☆

新たなロータスは、「エモーションとインテリジェンス、プレステージ」を具現化するクルマを造るのだとか。「シンプルに、そして軽さを加える」からは飛躍しすぎだが、エレトレRの並外れた速さをほのめかす内容ではない。このクルマは驚異的に速い。ただ、必ずしもそそられるようなタイプの速さではないが。

エレトレRのもっとも過激な走行モードであるトラックを選んでも、エンジン音代わりの合成ノイズは発しない。無味乾燥に感じられ、結果として速く走らせるとやや違和感や物足りなさを覚えることもある。たとえば、電子ローンチコントロールを用いたゼロ発進で感じるのは、身体に襲いかかる加速Gのほかは、路面に擦り付けられたタイヤの身悶えと風切り音の高まりだけだ。

エンジンのような個性を求めると物足りないが、速さは文句なし。ただし、限界のわかりやすいセッティングやボディサイズゆえに、無神経に飛ばそうと思わせるクルマにはなっていない。
エンジンのような個性を求めると物足りないが、速さは文句なし。ただし、限界のわかりやすいセッティングやボディサイズゆえに、無神経に飛ばそうと思わせるクルマにはなっていない。    JACK HARRISON

アダプティブダンパーとエアスプリングは、2.7tのSUVがスイッチを入れたように突如として100.5kg-mもの大トルクを放出すると、唐突かつ強烈にリアを沈めるのを食い止めることはできない。ちなみに、0−97km/hは3.1秒で、残念ながら3秒切りは実現できなかった。

もうひとつ、これはEV全般に言えることだが、バッテリー残量が減るに従って徐々にペースが落ちてくる。充電量10%では、0-97km/hが4.6秒、0-161km/hが24.1秒だ。

全開にすると多少ステアリングを取られるが、おそらくそれは不可抗力だ。最大加速は130km/hくらいまでシームレスだが、そこでリアの変則が行われるときにパワーデリバリーの段がわずかに出る。とはいえ、普段使いでそれに気づかされることはない。

ブレーキングでのスタビリティは、良好で安心感がある。制動力も同様だ。それでもこれは、明らかに限界を伝えるよう調整されたクルマで、そのこととボディサイズの大きさにより、狭い道でなくても、全開にしようと思うことは少ないかもしれない。時と場合をわきまえるのは間違いないところだ。

より普通に走らせるなら、走行モードや回生セッティングを調整すればドライバビリティが大幅に向上する。操縦系の位置決めがよくできているので、どんな速度域でも楽に運転できる。

結局、「キャラクターと強い個性に満ちている」という触れ込みにはおおいに疑問を感じたものの、驚くほど制約や妥協のない走りを味わえるのは間違いない。

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