パワートレインはGT 63のPHEVと同じ

2＋2クーペのメルセデスAMG GTと、メカニズム的には兄弟モデルとなった、ソフトトップを背負うSL。その結果、ラグジュアリー・ロードスターが得ていた動的特性は、従来とは多少異なるものとなった。リアシートを獲得し、実用性は増したといえる。

そんなSLに、システム総合816psを発揮するプラグイン・ハイブリッドが追加された。今回試乗した、SL 63 S Eパフォーマンスがそれだ。

AUTOCARの読者ならご存知の通り、現行のSLは、43の421psを発揮する2.0L 4気筒ターボエンジンからラインナップされている。さらに、55 4マティック＋では475ps、63 4マティック＋では585psを発揮する、4.0L V8ツインターボも選べる。

その上に君臨するのが、この63 S Eパフォーマンス。エンジンは63 4マティック＋と同じ4.0L V8ツインターボで、駆動用モーターと9速ATが組み合わされ、先日試乗したメルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンスとパワートレインは同じ構成になる。

小さな駆動用バッテリーで走れる距離は、現実的には10kmを少し超えるくらい。プラグインを名乗る割に、かなり短いことは事実。だが、ベントレー・コンチネンタルGT PHEVやポルシェ911 GTS Tハイブリッドなどと、しのぎを削る事になる。

圧倒的な動力性能　素晴らしいV8サウンド

スタイリングやインテリアは、非ハイブリッドのSL 63 4マティック＋と殆ど変わらない。ただし、ハイブリッド用の駆動用バッテリーをリアに搭載することで、荷室の容量は103Lも減少。110Lへ狭まっている。

オプションのリアシートを装備でき、2＋2の実用性は同等。カンバス製のソフトトップを開いた状態でも、運転席の後ろへ手荷物を簡単に載せられる。

交通量の少ない公道へ出れば、内燃エンジンと電気モーターが協働した時の、圧倒的な動力性能に唸らされる。むしろ、サーキットでなければ受け止めきれないほど。

V8エンジンの、威勢のいいサウンドも素晴らしい。ソフトトップを全開にすれば、フィルタリングなしで、空気を伝わる重厚なエグゾーストノートを直接体感できる。

プラグイン・ハイブリッド化されたことで、63 4マティック＋と比較し、最高出力は231ps、最大トルクは63.0kg-m（！）も増えている。そのぶん車重は225kg増加し、2125kgあるが、それをまったく感じさせない加速力だ。

実際、現在の欧州市場で購入できるロードスターとして、SL 63 S Eパフォーマンスは最速の部類。0-100km/h加速は、GT 63 S Eパフォーマンスから0.1秒遅れる、2.9秒。これは、非ハイブリッドの63 4マティック＋より0.7秒も鋭い。

サイドウインドウを閉めれば、ソフトトップを開いていても、車内の乱気流は最小限に抑えられる。最高速度は317km/hが主張される。

画像　圧巻のパワーとサウンド！　メルセデスAMG SL 63　競合のコンバーチブル　兄弟の最新GTも　全113枚