圧巻のパワーとサウンド! メルセデスAMG SL 63 S Eパフォーマンスへ試乗 動力源はGTのPHEVと同じ

公開 : 2024.08.18 19:05

快適性へ軸足 ロードスターのグランドツアラー

操縦性を確かめてみると、クーペボディのAMG GTに並ぶほど、正確でタイトとはいえないだろう。ボディのねじり剛性は約30%低く、フロントのトレッドは僅かに狭く、タイヤのサイドウォールも僅かに厚い。快適性へ軸足は置かれている。

とはいえSLらしく、目抜き通りを優雅に流したり高速道路を巡航するだけでなく、チャレンジングな区間にも見事に対応してみせる。入力に対する反応は予想しやすく、運転しやすいように思う。

メルセデスAMG SL 63 S Eパフォーマンス(英国仕様)
メルセデスAMG SL 63 S Eパフォーマンス(英国仕様)

同等のパワートレインを積むGT 63 S Eパフォーマンス以上に、サーキットへ向いているわけではないとしても。

南フランスを優雅に流すようなラグジュアリー・ロードスターと、欧州大陸を横断するような高性能オープン・グランドツアラー。SLのプラグイン・ハイブリッドは、この2つの側面を見事に両立できている。

燃費は、カタログ値で13.0km/L。駆動用バッテリーの容量は4.8kWhとされ、フル充電で駆動用モーターだけで走れる距離は、最長13kmがうたわれる。

最新のパワートレインが叶える魅力

実用性では、荷室容量の大きい63 4マティック+の方が優れることは否めない。それでも、電気だけで走れる能力が、SLの訴求力を僅かでも高めていることは明らかだ。

シリアスな運転の楽しさでは、兄弟のクーペに届いていないかもしれない。だとしても、最新のパワートレインが叶える圧倒的な速さは確かな魅力だろう。公道で発揮できる領域を、遥かに超えているけれど。

メルセデスAMG SL 63 S Eパフォーマンス(英国仕様)
メルセデスAMG SL 63 S Eパフォーマンス(英国仕様)

なお、英国価格はまだ発表されていない。予想では、18万5000ポンド(約3552万円)前後になるのではないだろうか。

◯:見事な動力性能 聴き応えのあるサウンド 洗練された走り
△:短すぎる電気だけでの走行距離 隠しきれない車重 やや精度に欠ける操縦性

メルセデスAMG SL 63 S Eパフォーマンス(英国仕様)のスペック

英国価格:約18万5000ポンド(約3552万円/予想)
全長:4705mm
全幅:1915mm
全高:1359mm
最高速度:317km/h
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:13.0km/L
CO2排出量:175g/km
車両重量:2125kg
パワートレイン:V型8気筒3982cc ツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:816ps/5750-6500rpm(システム総合)
最大トルク:135.1kg-m/2500-4500rpm(システム総合)
ギアボックス:9速オートマティック(エンジン)+2速オートマティック(電気モーター/四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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