レンジローバー・スポーツにEV、年内発表か 「超急速充電」対応800Vバッテリー搭載

公開 : 2024.08.09 18:05

JLRはレンジローバー・スポーツのEV版を2025年に市場投入する見通しだ。詳細は伏せられたままだが、現行車とほぼ同じデザインのプロトタイプが欧州で目撃されている。

現行車を踏襲したデザイン

レンジローバー・スポーツの電気自動車(EV)バージョンは、今年末の公開に向けて準備が進められている。ポルシェカイエンEVやロータスエレトレのような高性能SUVのライバルとなりそうだ。

英国の自動車メーカーであるJLR(ジャガーランドローバー)は2026年までに6車種のEVの投入を目指しており、レンジローバー・スポーツもそのうちの1台となる。今回、スペインでプロトタイプのテスト走行が目撃された。

レンジローバー・スポーツのEV版は今年中に公開される見通しだ。(編集部作成予想イメージCG)
レンジローバー・スポーツのEV版は今年中に公開される見通しだ。(編集部作成予想イメージCG)    AUTOCAR

プロトタイプは、内燃機関を搭載する既存のレンジローバー・スポーツとは異なる特徴を備えている。フロントグリルは閉じられ、マフラーも確認できない。

また写真では分かりづらいが、駆動用バッテリーが前後のアクスルの間にセットされているのが見える。充電ポートは、フラッグシップモデルのレンジローバー・エレクトリックのように、従来の給油口の位置にあると予想される。

EVとしての性能は?

JLRは今年初め、新型EVの開発期間を延長し、消費者の需要の変化に対応するために電動化計画を若干調整した。開発ペースを落とすことで、可能な限り理想に近い形で市場投入できるとしている。

エイドリアン・マーデル最高経営責任者(CEO)は2月の記者会見で、「2026年までに6車種のJLR製品が誕生する可能性が高い。我々は時間をかけて、これまで開発した中で最高のクルマを、新しい技術とともに市場に投入できるようにしています」と述べた。

欧州で目撃されたレンジローバー・スポーツEVのプロトタイプ
欧州で目撃されたレンジローバー・スポーツEVのプロトタイプ    AUTOCAR

このEV開発の遅れは同社の経営に大きな影響を与えないという。

「3年前の計画よりも少し遅れています。それはビジネス上の課題ではありません。我々は、2020年代の終わりまでにすべての製品を電動化するというマクロスケジュールを遵守しています」

調整後の計画では、ランドローバーからは汎用性の高いMLAプラットフォームをベースとしたEV版のレンジローバーおよびレンジローバー・スポーツ、そして新しいEMAプラットフォームをベースとしたレンジローバー・イヴォークとレンジローバー・ヴェラールの後継EV(2車種の小型SUV)の計4車種が2026年までに登場する。

ディスカバリー・スポーツの後継EVとディフェンダーの新しいエントリーモデルも、その後数年以内に発売される予定だ。

一方、ジャガーからはJEAプラットフォームをベースとした大型の4ドアGTと、ベントレーベンテイガのような大型の高級SUVが2026年までに登場する。その後すぐに、BMW i7に匹敵するセダンを発表する予定だ。

重要なのはEVとしての性能だ。レンジローバー・スポーツEVには超急速充電を可能にする800Vの充電ハードウェアが搭載されることは分かっているが、バッテリーのサイズと素材に関する詳細はまだ明らかにされていない。

また、JLRは2019年にBMWと電気駆動ユニットの共同開発で提携したが、レンジローバー・スポーツEVがBMWのEVとコンポーネントを共有するかどうかも不明だ。

MLAプラットフォームは、内燃機関と電動パワートレインの両方に対応できる設計のため、構造的に大幅な変更は必要ない。EV版の内外装のデザインは現行車とほとんど同じになると予想される。

しかし、健全な利益率を維持するため、内燃機関よりも高価になるだろう。現行車やライバルの価格体系を考慮すると、レンジローバー・スポーツEVは10万ポンド(約1860万円)を超える可能性が高い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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