本当は狭い場所が不得意? アバルト500e 長期テスト(2) ON/OFFスイッチのようなペダル

公開 : 2024.08.31 09:45

スポーツカーより連続する狭いカーブは楽しめる

駆動用バッテリーの容量は42kWhと小さく、車内空間はタイトで、長距離ドライブに向いたモデルではないだろう。一方で、低速域でのこれらの不満を考えると、走行距離の短い市街地移動に向いているとも表現しにくい。

それでも、アバルト500eを楽しめる場所はある。ロンドン郊外を一周する高速道路、M25号線より外側に広がる、適度な起伏のある大地へ伸びる一般道が、かなり理想へ近いと感じた。

アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)
アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)

コンパクトなサイズを活かし、内燃エンジンを積んだ純粋なスポーツカーより、カーブが連続する狭い区間との親和性は間違いなく高い。過度に飛ばすことなく、運転を楽しめる。速度域が高くないから、電費が大きく悪化することもない。

ロンドンから遠く離れているわけでもないから、帰路のための充電を心配する必要もない。ここなら、500eの真価を発揮できるように思った。

グッドウッド・サーキット周辺に広がる、走り応えのある一帯を目指した時は、辿り着く前に駆動用バッテリーの40%を消費してしまった。充電を考えていなかった筆者は、帰り道を抑えめに走ることになった。

数kmだけだが、畑から出てきたトラクターの後ろを走ることになっても、追い越す気にはならなかった。50km/hなら、電費も伸びるから。

テストデータ

気に入っているトコロ

駐車アシスト:小さいクルマだから、本来なら駐車アシストの必要性はそこまで高くない。ところがペダル操作の反応が唐突だから、とても有効。

気に入らないトコロ

電動ハンドブレーキ:ハンドブレーキの解除に時間がかかる。きしむような音も出る。

テスト車について

アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)
アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)

モデル名:アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)
新車価格:3万8195ポンド(約726万円)
テスト車の価格:3万8795ポンド(約737万円)

テストの記録

電費:5.8km/kWh
航続距離:244km
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト アバルト500eの前後関係

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