まるで「従順な野獣」 ランドローバー・ディフェンダー 130 長期テスト(2) 都心部へ順応できる

公開 : 2024.08.18 09:45

約5.4mの全長を持つディフェンダー 130 ランドローバーの「3本柱」の重要な1台 安定した走りで、高級車へ仲間入りした現行型 普段使いとの親和性を、英編集部が長期テストで評価

積算1万6032km 意外と優秀な燃費

ランドローバーディフェンダー 130は、燃費が良さそうな見た目ではない。しかし、運転次第では14.0km/L以上を狙えるようだ。

先日、慎重に運転してみたら、平均で15.9km/Lという優秀な結果を得られた。道路工事に遭遇してしまい、ベストな条件ではなかったにも関わらず。17.0km/Lを超えることは、流石に難しいかもしれないが。

ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)

積算1万6141km パワフルなSUVで私事の用足し

ディフェンダー 130の長期テストを担当しているマット・プライヤーから、スマートフォンへメッセージが届いた。こちらからかけた電話が繋がらなかった、数時間後に。「今度会わない? 何か欲しいものはある?」という、意味深な内容だった。

電話をした理由は、筆者が長期テストで乗っているアバルト500eへ1週間ほど乗ってみないか、と誘うためだったと伝えた。「じゃあ、ディフェンダーはいつ必要?」。ちょっと皮肉っぽく、すぐにレスが届いた。彼は、自分が小さなクルマが好きだと知っている。

ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)

実はプライベートで、机や戸棚など大きな家具を片付ける必要があった。週末にロングドライブもしたいと考えていた。それには、パワフルなディーゼルターボを積んだSUVがぴったり。偶然(?)にも、需要と供給が一致したようだ。

ミドルクラスのワゴンと同等に取り回せる

数日後には、英国で販売される乗用車では最大のクルマの鍵が渡された。眩しいアシッド・グリーンに塗られた、小さなアバルト500eの鍵との交換で。というわけで今回は、フェリックス・ペイジがご報告したい。

ディフェンダー 130へは、2023年に初めて試乗している。広々とした幹線道路と、手強いオフロードコースというメニューだった。車内も走りも快適で、110より340mmも長いことを忘れるほど、すぐに親しくなることができた。

ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)

しかし今度は、粗大ごみの集積場に向かったり、市街地を抜けてイケアへ買い物に行く。ロンドン周辺で定番の交通渋滞に巻き込まれながら、通勤もする。ボディサイズが気にならない場所とは、間違いなくいえないだろう。

かくして、1週間ほど運転してみた。当初は燃費が6.0km/Lくらいで、狭い交差点では何度か切り返す必要があるだろうと想像していた。

しかし600km以上を走った平均燃費は、フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIと同じくらい。市街地や駐車場での取り回しも、少しの練習と駐車支援機能が有効だとしても、ミドルクラスのステーションワゴンと大きくは違わないように感じる。

高速道路の巡航時、エンジンはささやくように静か。高さ制限のある立体駐車場にも入れ、市街地の混雑でも困惑しない。イケアの組み立て家具の箱、フラットパックもらくらく載せられる。狭い路地をバックで進んで、玄関前へピタリと寄せられる。

荷室の広さは、ちょっとした商用バンのよう。引っ越しにも大活躍するはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト ランドローバー・ディフェンダー 130の前後関係

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