オンでもオフでも「クラス最高峰」! ランドローバー・レンジローバーへ試乗 推しはSWBのD350

公開 : 2024.09.01 19:05

上下分割式のテールゲート オススメはD350

フロントシートはサイズが大きく、調整域が広い。運転姿勢は直立気味。ステアリングホイールやペダルは大きめで、シフトセレクターはモーターボートのスロットルのよう。その横に、テレインレスポンスIIのダイヤルがある。

メーターパネルはモニター式。クリアで見やすい。ステアリングホイールには、タッチセンサーが並ぶ。

ランドローバー・レンジローバー D350 HSE(英国仕様)
ランドローバーレンジローバー D350 HSE(英国仕様)

後席側の空間は広々。SWBでは5シーターが標準だが、SVO仕様なら4シーターも指定できる。リアシートは、分割して折りたためる。テールゲートは上下分割式で、下側を倒してベンチにし、上側はひさしにできる。

インフォテインメント・システムは、ランドローバー独自のピヴィプロ。反応が素早く、メニューはタップしやすく、構造も理解しやすい。

カーナビや各種の車両設定、車内の照明まで、タッチモニターを介して操作する。音声操作機能や、アップル・カープレイとアンドロイド・オートにも対応する。

試乗車のエンジンは、直列6気筒ディーゼルターボ。D350の場合、350psと71.2kg-mを発揮する。マイルド・ハイブリッドで、静かで滑らかに回転し、鋭い加速を望んでも会話を邪魔することはない。

満タンのガソリンに大人が2名乗った状態で、0-100km/h加速は6.3秒。カタログ値には届かなかったが、不満なく速い。アクセルペダルのストロークが長く、加速時のキックダウンを引き出しやすく感じた。シフトパドルで、任意にギアも選べる。

リラックスして走らせれば、変速は殆ど感知できない。110km/h巡航時の回転数は、8速で1550rpm。これが1番のオススメ・ユニットだ。

ステアリングやペダルの正確で一貫した反応

プラグイン・ハイブリッドも軽く試乗したが、レスポンスは良好。3.0Lガソリンエンジンが静かに回転し、ディーゼルよりスポーティといえる。

BMW由来のV8エンジンも、レンジローバーにはぴったり。低速域では唸りをかすかに奏で、高回転域では洗練された響きを楽しめる。ただし、アクセルペダルの反応は少し予測が難しい。オーナーが望むような、洗練された加速感は引き出しにくいかも。

ランドローバー・レンジローバー D350 HSE(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー D350 HSE(英国仕様)

ブレーキは、もう少し強力でも良いだろう。計測時は路面が軽く濡れた状態だったが、110km/hから停止するまで66.2mが必要だった。

小柄とはいえないレンジローバーだが、GクラスやX7などより、車幅感覚は掴みやすい印象。大きなガラスエリアが、広い視界を生むためだろう。ボンネットの先端や、ボディ側面の位置を把握しやすく、ドアミラーも大きい。

ステアリングやペダルの正確で一貫した反応も、運転のしやすさへ貢献している。停止線に合わせて、スッと静かに止められる。狭いカーブで対向車とすれ違う場面でも、狙い通りに歩道側へ寄せられる。

これらは、車重を感じさせない敏捷性も生んでいる。有能なアクティブ・アンチロールバーとエアサスペンションの効果で、カーブでのボディの傾きは最小限。気持ち良く回頭していく。

住宅地の交差点では、後輪操舵システムが威力を発揮。都市部での取り回しに、大きな違いを生んでいる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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