「神は細部に宿る」そのもの ベントレー・ベンテイガ V8 Sへ試乗 水を差す欠点はほぼナシ!

公開 : 2024.08.25 19:05

W12エンジンの生産が終了し、V6かV8のみになったベンテイガ  神は細部に宿ることを実感する巧妙さ 凄まじい加速を生む549ps 体験へ水を差す欠点はほぼないと、英編集部は評価

W12エンジンは終了 現行はV6かV8のみ

神は細部に宿る。ベントレーベンテイガには、まさにこの言葉が当てはまる。

ドライバーの正面へ据えられたメーター用モニターには、ベンテイガを立体的に描いたグラフィックを表示できる。その中の小さなウインカーは、ボディ側のランプと同調して点滅する。ブレーキペダルを踏めば、ブレーキランプも光る。

ベントレー・ベンテイガ V8 S(英国仕様)
ベントレー・ベンテイガ V8 S(英国仕様)

実際に押せるハードスイッチが各所に並び、カチカチと鳴る音までデザインされている。どれも製造品質は極めて高く、インテリアは完璧といえるほど精巧だ。

ボンネットを開けば、裏側の遮音材までキルティング加工されている。リアの中央にあしらわれた羽ばたく「B」のロゴを押せば、スーッとテールゲートが開く。些細なことかもしれないが、どれも巧妙なものだ。

オプションは多彩。複数のトリムグレードが設定されるほか、オーナーのお好みで、細かな部分まで独自に仕立てられる、パーソナライゼーションも充実している。

ベントレーは、W型12気筒エンジンの生産を終了した。現行のベンテイガへ搭載されるのは、455psを発揮する3.0L V6ターボエンジンか、549psを発揮する4.0L V8ツインターボエンジンの2択になった。その前者は、プラグイン・ハイブリッドだ。

2024年には、500馬力前後が物足りなく見える、という人もいらっしゃるだろう。アストン マーティンDBX707は707psだし、ランボルギーニウルス SE PHEVは800psあるのだから。

壮観なSUVが凄まじい勢いで加速する

でも大丈夫。2025年には、ベンテイガにも750psのV8プラグイン・ハイブリッドが追加される予定だ。

とはいえ、アウディ由来の4.0L V8ツインターボが役不足ということはまったくない。まるで大聖堂のように壮観なSUVを、凄まじい勢いで加速させる。2416kgある車重をものともせず、0-100km/h加速時間は4.5秒でしかない。

ベントレー・ベンテイガ V8 S(英国仕様)
ベントレー・ベンテイガ V8 S(英国仕様)

その間に放たれるエグゾーストノートは、深く重厚。スポーツ・モード時は、クルマ好きの気持ちをくすぐる。W12エンジンの存在を忘れさせるように。

ちょっとワイルド過ぎる、と感じなくもない。約20万ポンド(約3800万円)の高級車だから、もう少し上品に振る舞った方が、好意的には受け止められそうだ。セミマットのオレンジ・フレイムサテン塗装のことは、別として。

コンフォート・モードを選べば、印象は一変する。エグゾーストノートはぐっと抑えめになり、心地良い唸りへ転じる。アクセルレスポンスも緩やかになり、リラックスして走りたいというドライバーへ応えてくれる。

特に感心するのは、サスペンションの変化ぶり。スポーティな「S」では、アクティブ・ロールマネジメントを実装。後輪操舵システムと適度な重み付けのステアリングが相まって、高速コーナーでの敏捷性や安定性と、市街地での快適性を両立している。

速度抑止用のスピードバンプを通過しても、エアスプリングが吸収。22インチという巨大なアルミホイールでも、殆ど気に留める必要はない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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