ヒョンデ・アイオニック5N 詳細データテスト ドライバーズカーEV誕生 重さを忘れるハンドリング

公開 : 2024.08.17 20:25

話題を集めているハイパフォーマンス仕様のクロスオーバーEVは、スーパーSUV並みのパワーのみならず、重量を感じさせないシャシーや独創的なデバイスも駆使し、走りにうるさいテスター陣をも唸らせる走りを実現しました。

はじめに

電気自動車は、短期間に大きく進歩したが、ポルシェBMWが参入してさえ、シンプルで手に負えないが成熟した楽しさをもたらすものはいまだに存在しない。攻めがいのあるB級道路を走りに行きたくなるようなクルマがEVの世界には欠けているが、ヒョンデアイオニック5Nでその座に挑もうとしている。

15年前、ヒョンデがパフォーマンスカーを投入し、そのクラスの楽しさを再定義すると謳っても、誰も相手にはしなかっただろう。しかし過去10年間に、このブランドは野心的な歩みを進めてきた。欧州でも屈指の技術者を雇い入れ、そのチームに新しいことをする自由を与え、R&Dを少しでも楽しいものにしようとしたのだ。

テスト車:ヒョンデ・アイオニック5N
テスト車:ヒョンデ・アイオニック5N    JACK HARRISON

最初の成果は、Nと銘打ったサブブランドから送り出された、ガソリンターボのFFホットハッチだった。i30Nとi20Nは、完成度こそ低いものの、クイックに動き、俊敏で、ごまかしがなく、ハードに走らせてほしいという貪欲さを感じさせた。エンスージアストがヒョンデに目を向けるきっかけになったクルマで、冗談まじりに『コーナーのやんちゃ小僧』と呼ぶN初のEV登場へもつながっている。

もちろん、もし2235kgのアイオニック5Nが本当にコーナーで暴れ者ぶりを、それもできる限りいいかたちで見せるのなら、誰も売り文句に疑問を呈しはしないし、ゲームチェンジャーにさえなるだろう。このクロスオーバーが650psのツインモーターを全開にしたら、どれほどの速さを見せるのか、そして宣伝どおりの実力を示してくれるのか。確かめてみたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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