ジャガー、全車種廃止まで数か月? 1年間は新車販売なしか 12月に新型EVコンセプト発表

公開 : 2024.08.14 18:05

新車販売に「空白期間」も

ジャガーがEVシフトを進める中、競合他社は高級EVの需要が頭打ちになっていることを受け、電動化戦略を調整している。例えば、ポルシェは2030年以降もガソリンエンジンのカイエンの生産を予定している。アウディはハイブリッド車への注力を大幅に強化し、メルセデス・ベンツはEV販売が「予想より低迷している」ため、一部のプラグインハイブリッド車(PHEV)の販売予定期間を延長した。

ジャガーの親会社であるJLRでさえ、包括的なEV戦略を調整し、150億ポンド(約2兆8200億円)の電動化投資パッケージを180億ポンド(約3兆3800億円)に引き上げた。消費者がEVに消極的な分野をカバーするため、ランドローバー向けに柔軟性のあるプラットフォームを開発できるようにした。

(編集部作成予想イメージCG)
(編集部作成予想イメージCG)

しかしグローバー氏は、ジャガーのブランド再ポジショニング、技術的優先事項、新時代のデザイン言語が、市場での魅力を高めると確信している。「我々の製品、そしておそらく次世代の製品は、業界全体の認識に大きな違いをもたらすと思います」と彼は言う。

「現在のところ、EVを所有する上での合理的な障壁はまだ残っています。航続距離への不安とインフラ、そして公共の場で充電する必要性です。そのひとつひとつを順番にクリアしていけば、我々のクルマはすべて大きなレバレッジを持つことになります」と、ジャガーの次期EVの航続距離の長さと急速充電の速さに言及した。

また、ジャガーブランドは高価格で販売台数を抑えているため(最大でも年間5万台)、主流の市場トレンドにあまり左右されないとも述べた。「我々は台数よりも価値を重視してきました。それが今の価格帯を選んだ理由です」

「EV市場の発展が無関係だとは言いませんが、もっとコモディティ化したボリューム・セグメントにいた場合よりも、関連性は低いと思います」

新時代の幕開けを前に、ジャガーは英キャッスル・ブロムウィッチでのXE、XF、Fタイプの生産を終了し、オーストリアにあるマグナ工場でのEペイスおよびIペイスの生産も年内に終了する。Fペイスだけは2025年まで生産が継続されるが、グローバー氏は今年末までに欧州の一部市場で「新車販売を終了する」と述べ、英国でも「来年初頭から」それに続くとした。

また、英国では新型4ドアGTの本格導入は2026年以降になるという。つまり、地域によってはジャガーの新車が販売されない期間が約1年間続くことになる。その間、販売店では中古車とアフターサービスに注力することになるが、「そうですね、ジャガーを購入できない期間も出てきます」とグローバー氏は述べた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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