1955年の見た目+BMWの4発ターボ モーガン・プラスフォーに試乗 届かない部分も魅力の1つ

公開 : 2024.08.27 19:05

英国最古の自動車メーカーの1つ、モーガン 新開発アルミ製シャシーにBMWエンジンの最新プラスフォー 一体感の高い操縦性 飛ばさずとも躍動的 届かない部分も魅力だと英編集部は評価

見た目は1955年 シャシーは新開発のアルミ製

英国最古の自動車メーカーの1つ、モーガン。イタリアのベンチャーキャピタルによる買収で、数年前に新時代の幕開けを迎えた。BMWエンジンを積んだプラスシックスとプラスフォーが、ブランドを支えている。

1936年のモーガン4/4以来、連綿と作られてきたスチール製ラダーフレームを使用しない史上初の4気筒モーガンが、今のプラスフォー。マニュアルを選べるとしても、生粋のファンにとって、伝統的なモーガンだとは思えないのも理解はできる。

モーガン・プラスフォー(英国仕様)
モーガン・プラスフォー(英国仕様)

それでも、1955年仕様の4/4と容姿はかなり近い。ボディフレームには、従来どおり木材が用いられている。

このプラスフォーは、2024年にアップデートを受けた。見た目的な変化は、新しいヘッドライトの獲得と、フロントスプリッターがマットブラックに塗装されたこと程度。サイドミラーはアルミ製になり、軽量化された。

プラットフォームは変わらず、CXジェネレーションと呼ばれる新開発品で、アルミニウム材を接着したもの。単体での重さは98kgしかなく、ねじり剛性は1mmの変形当たり約4377kgと、高剛性なことが特長となる。

エンジンはBMW B48型ユニットで、Z4や330iなどと共有。最高出力の258psは、5500rpmで発揮する。最大トルクは8速ATで40.7kg-m。6速MTでは35.6kg-mへデチューンされるが、車重は1013kgだからまったく不足ない。

ブレーキは、前後ともベンチレーテッド・ディスク。ステアリングには電動アシストが備わるが、アナログな味わい以上に、北米での嗜好に合わせた判断のようだ。

居心地のいいキャビン 小物入れは不足気味

ボディは、伝統に則りアッシュ材のフレームがベース。ドアやリアのボディパネルも、木材で支えられている。

幅の広いサイドステップをまたぐ必要はあるが、カットダウンされたドアを開いての乗降性は、ケータハムより良好。ドアのラッチ部分が露出しており、ズボンの裾を引っ掛けないよう注意したい。

モーガン・プラスフォー(英国仕様)
モーガン・プラスフォー(英国仕様)

シートは狭めだが、キャビンは広く心地良い。足元の空間には余裕があり、インテリアの高級感も高い。ダッシュボードには、中央にタコとスピードのメーターが配され、水温と燃料の補機メーターも備わる。少しデザインはモダンすぎるかも。

ドライバーの正面には4インチ・モニターが据えられ、スピードメーターとして機能する。ステアリングコラムは光沢感のある樹脂で覆われ、ちょっと雰囲気を濁す。一部だがワイヤーハーネスも露出しており、価格帯を考えれば不釣り合いだろう。

小物入れは全体的に足りていない。スマートフォンの置き場にも困るほど。グローブボックスが唯一といえ、カップホルダーもない。

カーナビだけでなく、オーディオもオプション。追加料金で、アンプとリア側にスピーカーを組める。ミニピンジャックが用意される他、ブルートゥース接続でスマートフォンの音楽も再生できる。

もっとも、アンプの出力は大きくない。ソフトトップを閉じていても、音楽のディティールを聞き取ることは難しい。ロングドライブには、重宝すると思うが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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