メルセデスから25台の浮気? ブラバス900 ロケットRへ試乗 70mmワイドで900馬力の911

公開 : 2024.08.28 19:05  更新 : 2024.08.28 20:09

運転体験はターボSの延長 素晴らしい乗り心地

最高速度は339km/hが主張されるが、これはタイヤのコンチネンタル・スポーツコンタクト7が許す限界だから。もっと許容値の高いタイヤへ組み替えれば、386km/hに達するらしい。8速PDKのギア比的には、531km/hへ届く。

900 ロケットRの運転体験は、通常の911 ターボSの延長上にある。車高が落とされ、垂直方向の姿勢制御がタイトになっているから、シャシーのレスポンスは一層鋭い。

ブラバス900 ロケットR(欧州仕様)
ブラバス900 ロケットR(欧州仕様)

ステアリングホイールの感触は、意外なことに、ノーマルより軽め。速度が上昇すれば、指先で回せるくらい。ただし、路面の起伏で左右に進路が乱れる、ワンダリングも小さくない。これは、指先では修正が難しい。

ステアリングの反応は、極めて正確。扱いやすさの表れだろう。シュッと鳴くターボのブローオフバルブが、少しうるさい。

乗り心地は素晴らしい。ブラバスといえば速さが最大の強みかもしれないが、長距離ドライブの快適性も重視されている。メルセデス・ベンツとの親和性が高いことにも、納得できる。

穏やかな気持ちで、長時間を過ごせるとは表現しにくい。それでも、足さばきは驚くほどしなやかだ。

ブースト圧が高められた結果、エンジンの第一印象は少し穏やか。とはいえ、加速は極めてスムーズでリニア。240km/hくらいまでは、永遠に速度が上昇していきそうに思える。アスファルトが乾いている限り、トラクションにも不足はない。

911 ターボS級に安定 RS風のドラマチックさ

911 ターボS以上にエネルギッシュだと実感するのは、高回転域までアクセル全開で引っ張った時。それ以外は、通常のポルシェと同じくらい速く安定している。見た目と裏腹に、乗りやすい。

メルセデス・ベンツの一部の役員が、社用車のエンジンをブラバスにチューニングしてもらっていた時代があった。フォルクスワーゲン・ブループのCEO、オリバー・ブルーメ氏が900 ロケットRに乗ることはないかもしれないが、きっと気に入るはず。

ブラバス900 ロケットR(欧州仕様)
ブラバス900 ロケットR(欧州仕様)

992型の秀でた素性はそのままに、GT3 RS風のドラマチックさが追加されている。視線を釘付けにするような、ド派手な出で立ちも。

ブラバス900 ロケットR(欧州仕様)のスペック

英国価格:54万9130ユーロ(約9116万円)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:339km/h
0-100km/h加速:2.5秒
燃費:8.1km/L
CO2排出量:278g/km
車両重量:1640kg
パワートレイン:水平対向6気筒3745cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:900ps/7200rpm
最大トルク:101.8kg-m/5100rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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