高性能ステーションワゴン対決 BMW x AMG x アウディ 「V10」が懐かしい2007年御三家比較

公開 : 2024.08.19 06:05

BMW M5ツーリングがV8ハイブリッドとして復活した。合計出力727psの高性能ワゴンだが、約15年前のV10搭載の先代モデルが忘れられない……。今回は当時のレビュー記事を振り返ってみたい。

あの頃のV10ワゴンが忘れられなくて

新型BMW M5ツーリングが発表され、14年ぶりに同社の高性能ステーションワゴンが復活した。そして、壮絶な三つ巴対決の舞台も整った。

2007年、AUTOCARはV10エンジンを搭載したE61型M5ツーリングと、V8エンジンを搭載したドイツのライバル、アウディRS4アバントとメルセデスAMG E 63ステーションワゴンを対決させ、どれが最高のスーパーワゴンなのかを探った。

M5ツーリング、RS4アバント、E 63ステーションワゴンの三者対決(2007年)
M5ツーリング、RS4アバント、E 63ステーションワゴンの三者対決(2007年)    AUTOCAR

速さ、安定性、そして特に重要な実用性を試すべく、取材班は各車に350kgのバラストを詰め込んでサーキットを走らせた。

では、この3台のドイツ製高性能ステーションワゴンのうち、総合的に勝利したのはどれか? 今回は、2007年5月2日当時のレビュー記事を一部抜粋・再編集して紹介する。

(日本語版全文は2017年掲載の『ハイパフォーマンス・ワゴン対決  M5 vs RS4 vs E63 AMG』でお読みいただけます。)

「復活」のM5ツーリング

世の中のあらゆる高性能クラスを牛耳るか、それに近い支配力を持つ企業があるとすれば、それはBMWだろう。BMWはパフォーマンスを看板に掲げ、少なくとも参入するすべての市場で競争し、しばしば独占している。

スポーツセダン、キュートなロードスター、そして535dのエンジンを搭載したX3をどのような言葉で表現するのが適切かわからないが、「ハイパフォーマンス」もその1つであることは間違いない。バイエルン出身のクルマは「ハイパフォーマンス」を独自の方言、独自の言語としている。

M5ツーリング、RS4アバント、E 63ステーションワゴンの三者対決(2007年)
M5ツーリング、RS4アバント、E 63ステーションワゴンの三者対決(2007年)    AUTOCAR

それにしても、ステーションワゴンという重要なカテゴリーが、20年近くもBMWによって無視されてきたというのは何とも奇妙なことである。BMWが最後のM5ツーリングの生産を終了して以来、A4アバントやA6アバントに強力なターボエンジンを載せたアウディが猛威を振るってきた。メルセデス・ベンツもこのカテゴリーに積極的だ。 “スピード狂” 向けのCクラスEクラスのステーションワゴンは何年も前から存在している。

しかし、BMWは違った。E39型5シリーズ・ツーリングのV8搭載バージョンを試作することはあっても、量産化には至っていない。BMWのM部門はE39型M5ツーリングを1台だけ製作したことがある。しかし、フル生産するほどの需要があるとは考えられなかった。

その間にアウディは、このBMWの空席をうまく利用した。アウディのフルタイム四輪駆動を有名にしたのはクワトロ・スポーツだが、アウディが高性能な乗用車を作れるメーカーだという認識が広く浸透したのは1994年のRS2アバントからだ。RS2アバントは実用的かつ頑丈で、使い勝手の良い高性能車であった。

BMWがライバルの成功をどう受け止めたのかはわからないが、少なくとも市場の欲求は大変強く、もう一度M5ツーリングを作るという決断に何らかの影響を与えたことは間違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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