魅力的な最新「走る家」 フォルクスワーゲン T7カリフォルニア へ試乗 長年の経験が活きた空間

公開 : 2024.08.31 19:05

最新マルチバンをベースにしたキャンピングカー、カリフォルニア 長年の経験が活きた空間 両側にスライドドア確保 乗り心地や操縦性は新プラットフォームで良好 英編集部が評価

欧州の定番キャンパー、カリフォルニア

欧州のキャンピングカーと聞けば、フォルクスワーゲン・カリフォルニアが真っ先に思い浮かぶという読者は少なくないだろう。その起源は、1950年代のフォルクスワーゲン・タイプ2へ遡る。アイコニックな存在と歴史の長さを考えれば、当然かもしれない。

2024年に登場した最新のT7カリフォルニアは、ロングホイールベースのT7マルチバンがベース。全長は5173mmあり、ホイールベースは先代より269mm長く、そのぶん車内空間も広がっている。

フォルクスワーゲン T7カリフォルニア 2.0TDI オーシャン(英国仕様)
フォルクスワーゲン T7カリフォルニア 2.0TDI オーシャン(英国仕様)

英国仕様のパワートレインには、通常のマルチバンと同等の選択肢が用意される。1.5L 4気筒ターボエンジンのプラグイン・ハイブリッドも選べる。システム合計で245psを発揮し、四輪駆動だから、走りはかなり頼もしく感じられるだろう。

電気だけで、最長90km走れる能力も魅力的。遠くを目指す車中旅行では余り意味はないかもしれないが、燃費やCO2の排出量を多少でも改善できる。駆動用バッテリーという電源も、役に立つはず。

電動化技術の載らない、203psの2.0L 4気筒ガソリンターボエンジンは上質で滑らか。しかし、マルチバンでも燃費は伸びにくい。装備が増え重いカリフォルニアの場合は、150psを発揮する2.0L 4気筒ディーゼルターボの方が好適といえる。

長年の経験が活きた車内 両側にスライドドア

ディーゼルといえども質感は滑らかで、最大トルクは36.7kg-m。複数の人間と沢山の荷物、ミニキッチンやソファーベッドを載せたキャンピングカーを、力強く引っ張れる。

今回の試乗ではグレートブリテン島の丘陵地帯を駆け回ったが、力不足は感じなかった。唯一、7速デュアルクラッチATの反応の鈍さが気になった程度だ。

フォルクスワーゲン T7カリフォルニア 2.0TDI オーシャン(英国仕様)
フォルクスワーゲン T7カリフォルニア 2.0TDI オーシャン(英国仕様)

広い車内は、長年キャンピングカーを作ってきた、フォルクスワーゲンの経験が活かされている。現在のキャンプ事情にも、しっかり応えている。

例えば、大きな冷蔵庫やキッチン設備は不要だという声を受け、新しいカリフォルニアでは小型化。リア側のサイドへまとめられ、より余裕ある空間が確保されている。その結果、歴代で初めて、両側のスライドドアが開放できるようになった。

オプションだが、巻取り式のオーニングを両側に装備できる。これを展開すれば、車外にも陽光と雨をしのげる大空間を生み出せる。

走行中でも駐車中でも、車内では大人4名が快適に過ごせる。ポップアップルーフを立ち上げれば、身長の高い人でも普通に立って歩くことが可能。リアシートを折りたたみ、ポップアップルーフのフロアを出せば、充分な大きさのベッドが2つ作れる。

ベッドの展開は多少面倒だが、数日程度なら快適に過ごせるはず。引き出しや小物入れなどが随所にあり、収納に困ることもない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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