「1家4人」でV12を堪能! フェラーリ612 スカリエッティ UK中古車ガイド 秀抜な操縦性に実用性を融合

公開 : 2024.08.29 19:05

コンチネンタルGTやヴァンキッシュのライバルとして登場した、4シーターの612 スカリエッティ 自然吸気V12エンジンのファミリー・フェラーリ 他にはない二面性を宿すと英編集部は評価

自然吸気V12エンジンのファミリーGT

ベントレー・コンチネンタルGTやアストン マーティンヴァンキッシュに対する、2004年のマラネロからの回答が、612 スカリエッティ。ロングノーズに547psのV型12気筒エンジンを搭載し、300km/h以上の最高速度を誇るファミリー・フェラーリだ。

ゆったり広い運転席からの視界は良好で、定員は4名。シートは柔らかなレザーで仕立てられている。荷室容量は240Lで、コンチネンタルGTより115L小さいものの、運転を楽しめるグランドツアラーとしては格別な内容にある。

フェラーリ612 スカリエッティ(2004〜2011年/英国仕様)
フェラーリ612 スカリエッティ(2004〜2011年/英国仕様)

フロントに自然吸気の5.7L V12エンジンを搭載し、レッドラインは7500rpmから。0-100km/h加速を、4.0秒で処理する。定期的なメンテナンスを怠らなければ、信頼性は高いという。

プラットフォームはアルミニウム製で、車重は1840kg。同時代の多くのライバルより軽量だった。初代コンチネンタルGTと比べれば、545kgも。ヴァンキッシュは、さらに5kg軽かったけれど。

ホイールベースは2950mmと長く、質量の85%はその内側へ集約。前後の重量配分は55:45で、理想的といっていい。

シャシーは、プロのバレエダンサーのように敏捷。高速道路での巡航や、アルプス山脈の峠越えだけでなく、サーキットでもいかんなく能力を発揮する。鋭い操縦性と落ち着き、快適性を高次元で叶え、日常的に出くわすカーブでも楽しい。

秀抜な操縦性に実用性をミックス

V12エンジンのサウンドも、本気になればジェット機並みの迫力。一方でクルージング時は、助手席のパートナーと世間話できるくらい、車内は穏やかだ。

スタイリングは、2000年代初頭らしいもの。この時代には、少し不自然なプロポーションのモデルが複数登場した。小さなヘッドライトに凹んだボディ面、曲面とシャープなラインが組み合わされるなど、いくつかの特徴で共通していた。

フェラーリ612 スカリエッティ(2004〜2011年/英国仕様)
フェラーリ612 スカリエッティ(2004〜2011年/英国仕様)

当時の自動車ジャーナリストには、不格好だと評する人もいたが、見た目の印象は主観的なもの。筆者の目には、称賛するほど魅惑的なフォルムに映る。最も美しいフェラーリだとはいえないとしても。

トランスミッションは6速マニュアルと、6速セミ・オートマティックのF1マチックを設定。ボーズ社製のサウンドシステムにパワーシート、クルーズコントロールなど、装備も充実していた。

612 スカリエッティでは、操縦性を強化したHGT-SやHGT-Cといったパッケージも設定。ハードなアンチロールバーや、10%速く変速できるトランスミッション、より甘美なサウンドを奏でるエグゾーストなどを獲得できた。

フェラーリのV12エンジンと秀抜な操縦性に、実用性をミックスした612 スカリエッティ。より美しいライバルはあったとしても、他にはない二面性を宿した俊足グランドツアラーだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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