ルノー、欧州CO2規制の軟化求める 「15%削減」は達成可能か? EV需要頭打ちに悩む

公開 : 2024.08.20 18:05

2025年から欧州連合(EU)で新たなCO2排出規制が適用される。EVの販売が低迷する中、メーカー各社はハイブリッド車に力を入れている。

CO2排出量を大幅に規制

自動車メーカー各社が電気自動車(EV)の販売台数の伸び悩みを懸念する中、ルノー・グループのルカ・デ・メオ最高経営責任者(CEO)は、2025年からの欧州におけるCO2排出量目標に「柔軟性」をもたせるよう呼びかけた。

欧州連合(EU)は、自動車メーカーにCO2排出量の平均値の引き下げを義務付けるというCO2ベースの制度を採用している。来年には、企業別平均CO2排出量を2020年の平均値から15%削減しなければならず、ルノーはEU全域でEVの販売比率を高めることを余儀なくされている。

ルノー・メガーヌEテック
ルノー・メガーヌEテック

デ・メオCEOは7月29日、同社の第2四半期決算説明会で、「目標を達成するためには、(EV販売比率が)20%を超える必要がある。おそらく22%、あるいは23%というのが我々の推定だ」と語った。

しかし、今年上半期のEU全体のEVシェアは12.5%で、特にドイツでEV購入奨励金が廃止されたことが販売に響いた。

「ここ数年、EV市場は驚くほどダイナミックになっているが、我々に求められていることを達成するのに必要なスピードには達していない」

小型車には厳しい目標

ルノーは、パートナーである日産(排出量計算のために販売台数を合算している)とともに、プラグインハイブリッド車(PHEV)に頼らず、EVとハイブリッド車を組み合わせた製品戦略をとっている。

ハイブリッド車は平均CO2排出量を減らせるが、EVほどの影響力はない。

ルノー・クリオEテック
ルノー・クリオEテック

「EV1台で基本的に内燃機関(ICE)車4台分のCO2排出量になる。この計算ではEVが鍵となる」

ルノーは製品ラインナップの電動化を進めているものの、強硬な規制に対しては批判的だ。

「目標を達成できる(メーカーがある)とすれば、それは我々だ。小型車を販売しており、ハイブリッド車(の販売)ではトップ2に入っている。そのため、我々はある程度の柔軟性を求めている」

小型車を中心とするメーカーは、より厳しい目標に直面している。メーカーは全体として、平均93.6g/kmのCO2排出量を達成しなければならない。Bセグメントのルノー・クリオのハイブリッド車でさえ95g/kmだから、これは大変な目標だ。

より重く、より高価なクルマを販売する高級車ブランドは、PHEV技術を導入しやすいことからCO2排出量を大幅に削減できる。

2025年には、PHEVの実際の走行方法(エンジンをより長く使用する)に沿うように数値の計算方法が変更されてより厳しいものとなるが、BMWメルセデス・ベンツなどのメーカーは、それを補うためにバッテリーのサイズを大きくしている。

「PHEVは非常に成功している」と、メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウスCEOは決算説明会で述べた。

6月30日までの第2四半期に販売されたPHEVは27%増の4万4120台となり、25%減の4万5843台となったEVに肉薄した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ニック・ギブス

    Nick Gibbs

    英国編集部ビジネス担当記者
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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