不都合な真実:新型車は必ずしも「旧型より優れている」とは限らない

公開 : 2024.08.23 18:05

マット・プライヤー記者は電動化が定着する中、クルマの在り方について「再発明」が必要ではないかと投げかける。残念なことに、旧型に見劣りするような新型車もしばしば見られるようになってきた……。

時には根本的な再発明も必要

筆者は以前、「旧型より良くなっている」というのは、この業界ではあまり使われない怠慢な表現だと考えていた。

「改善された」などという書き方からは記者たちも離れていくだろう。ある企業が10億ドルを投じて最新技術を駆使した新型車を開発したとして、それが10年前のクルマよりも優れていなければ、かなり悲惨なことになるからだ。

メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス
メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス    AUTOCAR

ごく少数の例外(日産の2010年型マイクラなど)を除けば、そのようなことは起こらないのが普通だった。

しかし先週のAUTOCARの特集記事では、最新のメルセデスAMG C 63について「珍しい」セリフが表紙を飾った……「旧型には及ばない」。がっくり。

これは、ドライバーズカーとして変わらない魅力を維持しながら、新しいパワートレインに切り替えなければならない企業にとっては懸念すべきだ。

旧型C 63の愛すべきV8エンジンは、シリンダー数が半分になり、カリスマ性が低下し、重量が増加したものに切り替えられた。それから、筆者はまだ新型BMW M5には乗っていないが(本稿執筆時点)、これも車重2400kgを超えている。

我々はこうしたクルマに慣れてしまっていて、将来も良いことだけをやってくれるという保証はないと思っている。

そこで、今週試乗した新型ヒョンデアイオニック5 Nのようなクルマを考えてみたい。

i20 Nやi30 Nのような以前の成功作よりも上を目指しているわけではない。それはもはや不可能だからだ。その代わりに、まったく新しいことに挑戦し、やり遂げた。

必ずしも改善できないのであれば、再発明する必要があるのかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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