「2CVとIDの間」を埋めた変顔! シトロエン・アミ UK版中古車ガイド(1) ロータリー仕様も

公開 : 2024.09.08 17:45

シトロエン2CVの意志を継ぐ上級モデル、アミ 注目を集める個性的な容姿 2CV譲りの水平2気筒 当時は最も快適に移動できた小型車 アキレス腱は各部のサビ 英編集部が魅力を振り返る

注目を集める個性的な容姿 2CV譲りの水平2気筒

今でも見惚れてしまうシトロエンDSのスタイリングを描き出した、カーデザイナーのフラミニオ・ベルトーニ氏。その5年後に、シトロエン2CVと、DSの廉価版、IDのギャップを埋めるコンパクトモデルのデザインを任された。

彼が想定した購買層は、裕福なフランス人女性ドライバー。かくして、スタイリッシュで洗練された原案が生み出された。しかし、2CV用の空冷エンジンを流用することが決まり、なだらかに傾斜したフロントマスクには変更が求められた。

シトロエン・アミ(1961〜1979年/英国仕様)
シトロエン・アミ(1961〜1979年/英国仕様)

最終調整を受けたアミ6の見た目は、恐らく、すべての人の好みに合致するとはいえないだろう。それでも、大きな注目を集めたことは間違いない。2CVより上級のモデルだという印象を与える、本来の目標は達成している。

1961年に発売されたアミ6の特徴の1つが、まだ珍しかった丸くないヘッドライト。また、ボディには強度を増すプレスラインが要所へ施され、パネルには薄い鋼板が利用された。アルミニウムも多用し軽量化することで、優れた走行性能を引き出した。

結果的に、ボックスセクション構造のサイドシルは、外板を中心に錆びやすい。ボディ剛性を確保したのは、強固なバルクヘッドだった。

2CVと動力性能に差を与えるため、425ccの水平対向2気筒エンジンは、ボアとストロークを拡大。602ccの排気量から、24psを発揮した。しかし、このユニットは後に2CVにも与えられている。

ホットハッチと呼べるスーパー ロータリー仕様も

サルーンの大きなリアウインドウは通常とは逆に傾斜し、リアシート側の頭上空間を確保しつつ、広い荷室も実現。ルーフラインが長く伸び、実際より大きく見えるという効果もあった。それでも、少し個性的すぎたことは否定できない。

1964年には、ステーションワゴンのブレークが登場。これは見慣れた後ろ姿で、実用性でも勝り、販売数はサルーンをすぐに追い越した。1966年には、フランスのベストセラー・モデルに輝いている。

シトロエン・アミ(1961〜1979年/英国仕様)
シトロエン・アミ(1961〜1979年/英国仕様)

1968年には、32psへ増強されたアミ8が登場。デザイナーのロバート・オプロン氏によってフェイスリフトも施され、眉毛のようなフロントのラインは滑らかに。ディスクブレーキも与えられた。

シトロエンGS譲りの1015cc水平対向4気筒エンジンを得たのは、1973年。この55psのアミ・スーパーは、ホットハッチと呼べるような活発な走りを実現した。硬いアンチロールバーを獲得し、大げさともいえるボディロールは抑制されていた。

内装には、ルクス、コンフォート、クラブという3グレードを設定。クラブを指定すると、フロントシートはリクライニング可能になった。

アミ8のブレークも、サルーンを超える販売数を獲得。スーパーも魅力的な存在といえた。こんなアミ・シリーズは、フランスだけでなくスペイン、ユーゴスラビア、ポルトガル、ベルギー、アルゼンチン、チリの工場でも生産されている。

珍しい仕様は、アミ・サービスバン。それを超えるのが、シングル・ロータリーエンジンを搭載したM35だ。これは、試験的に267台しか生産されていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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