「直列8気筒」が生んだエレガントな自動車 30選 前編 戦前戦後の高性能モデル

公開 : 2024.08.25 18:05

ブガッティ・タイプ30(1922年)

直8ブガッティの最初のモデルは、1921年のタイプ29グランプリ(Type 29 Grand Prix)である。その2.0Lエンジンは翌年、市販車として初めてタイプ30に採用された。

レイランドやイソッタ・フラスキーニのような高級車ではなく、高性能車であったタイプ30は1926年まで生産され、後継のタイプ38にバトンを繋いだ。他の直8ブガッティ(そのうちの1台は後述)は、1950年代に本家が衰退するまで、さらに数年間生産された。

ブガッティ・タイプ30(1922年)
ブガッティ・タイプ30(1922年)

パッカード・エイト(1924年)

米国メーカーの間でV12エンジンの一時的なブームを巻き起こし、それが衰退していくのを目の当たりにしたパッカード(Packard)は、1924年に方針を転換した。ツイン・シックスに代わる同年の最上級モデルはシングルエイト(Single-Eight、後に名称変更)で、ボディスタイルは9種類あるが、エンジンはすべて新しい直8で、排気量は当初5.9Lだった。

パッカードは、ポンティアックを除くどの米国メーカーよりも長く、直8のレイアウトに忠実であり続けた。最終的にV8を導入する前年、最後のパッカードが生産される3年前の1954年まで、直8を提供していた。

パッカード・エイト(1924年)
パッカード・エイト(1924年)

オーバーン8(1925年)

オーバーン(Auburn)の直8エンジンは、ライカミング社によって生産されていた。ライカミングは1927年、オーバーンを所有する実業家エレット・ロバン・コード(1894~1974年)に買収されることになる。このエンジンは、まず8-63に搭載され、その後スピードスター(写真)を含む複数のモデルで使用された。

排気量は4.6Lまたは4.9Lで、1937年にオーバーンが倒産するまで同社の主力パワートレインとして活躍した。

オーバーン8(1925年)
オーバーン8(1925年)

ハップモービル・シリーズE(1925年)

ハップモービル・シリーズE(Hupmobile Series E)は、ハップ・モーター・カンパニー(Hupp Motor Company)社としては異例の高級車であると同時に、4.0Lの直列8気筒エンジン搭載車としては異例なほど安価でもあった。価格は1795ドル(現在の約3万1000ドルに相当)からで、デューセンバーグの半分以下だった。

その後、ハップモービルの直8モデルは複数登場したが、同社は1939年に閉鎖され、今日ではあまり知られていない。

ハップモービル・シリーズE(1925年)
ハップモービル・シリーズE(1925年)

スタッツ・バーティカル・エイト(1926年)

1926年型スタッツ(Stutz)に搭載された新型4.7L直8は、宣伝用資料に「振動を排除したエンジン」と記述されていた。よほど自信があったのだろう。また、「90馬力以上」のパワーを発生するとも謳われていた。

さらにパワーを求めたスタッツは、後に排気量を5.3Lに引き上げ、デューセンバーグと同様にオーバーヘッドカムシャフトとバルブの数をそれぞれ4本と32個に増やした(それまでは2本と16個)。このバージョンのエンジンは1931年に発表され、最高出力156psという圧倒的な出力を誇った。

スタッツ・バーティカル・エイト(1926年)
スタッツ・バーティカル・エイト(1926年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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