「直列8気筒」が生んだエレガントな自動車 30選 後編 戦前戦後の高性能モデル
公開 : 2024.08.25 18:25
ピアスアロー・モデル125および126(1929年)
ルーズベルトよりもはるかに裕福な顧客層をターゲットにしたモデル125(写真)と126は、スチュードベーカーに買収されたばかりのピアスアロー(Pierce-Arrow)が初めて生産した直8搭載車である。
エンジンはいずれも6.0Lだが、1930年代初頭には6.3Lに拡大された。両車の主な違いはホイールベースで、モデル125が133インチ(約3380mm)であるのに対し、モデル126は143インチ(約3630mm)であった。
ルノー・レインナステラ(1929年)
今では想像しにくいかもしれないが、第二次世界大戦前のルノーは高級車で有名だったため、遅かれ早かれ直列8気筒モデルが登場するのはほぼ必然だった。案の定、7.1Lのプロトタイプが1928年のパリ・モーターショーで一般公開され、翌年にはレイナステラ(Reinastella)と名前を変えて発売された。
同社初の8気筒車であると同時に、ラジエーターをエンジン後方ではなく前方に取り付けた初のルノー車でもある。
デソート・シリーズCF(1930年)
短命に終わったダッジ・シリーズDCと並んで、デソート(DeSoTo)はクライスラーの新型フラットヘッド直列6気筒を搭載した最初期のモデルである。クライスラーは1928年にデソートのブランドを創設し、翌年にダッジを買収した。
当初は3.4Lであったが、後にはるかに大型化され、1931年に初めてクライスラーブランドのモデルに搭載された。最終的にファイヤーパワーV8に置き換えられる前年の1950年まで、サラトガとニューヨーカーに5.3Lのエンジンが搭載されていた。
ハドソン・エイト(1930年)
ハドソン(Hudson)は1930年、グレートエイトと呼ばれるモデルに3.5Lエンジンを搭載し、直8市場に参入した。1931年には3.8Lに、1932年には4.1Lに拡大された(グレーターエイトと呼ばれるようになったきっかけの1つ)。
ハドソンはこの直8をやや後期のテラプレーンにも採用し、レイルトンが英国で生産した初期のハドソンベースのモデルにも同じユニットを搭載した。
ナッシュ・アンバサダー(1930年)
それまで直6を搭載していたアンバサダー(Ambassador)は、1930年にナッシュ(Nash)初の直8を導入する。この4.9Lオーバーヘッドバルブ・ユニットは、1気筒あたり2つのスパークプラグ(燃料と空気の混合気をより効率的に燃焼させるため)を持つという点で、世界でもほとんど類を見ないものであった。そのため、一時的にツインイグニッションと呼ばれることもあった。
ナッシュはその後も、より低価格の3.7Lフラットヘッドをはじめとする直8を数種類生産したが、第二次世界大戦後はこのレイアウトから身を引いた。