「直列8気筒」が生んだエレガントな自動車 30選 後編 戦前戦後の高性能モデル

公開 : 2024.08.25 18:25

アルファ・ロメオ8C(1931年)

直8のアルファは1920年代のレースで大成功を収めたが、市販車に導入されたのは1931年のことだ。ル・マン24時間レースで4度の優勝を飾った8Cは、ツインオーバーヘッドカムシャフトやスーパーチャージャーを備えた先進的な2.3Lユニットを搭載している。

排気量は3.8Lまで拡大可能だったが、公道走行用としては2.9Lを超えることはなく、1939年までこの形態で販売されていた。

アルファ・ロメオ8C(1931年)
アルファ・ロメオ8C(1931年)

ビュイック(1931年)

ビュイックは1931年モデルにオーバーヘッドバルブ直列8気筒を導入し、シリーズ50(写真)をはじめすべての車種に展開した。用途によって必要とされる出力が異なり、したがって排気量も異なる。3.6Lから5.6Lまで幅広い排気量が用意された。

ビュイック初のV型8気筒エンジン(ファイヤーボール、別名ネイルヘッド)は1953年に登場し、技術的には直列8気筒に取って代わるものとなった。実際にはビュイック・スーパーに4.3Lユニットが搭載され、その後1年間は生き残った。

ビュイック(1931年)
ビュイック(1931年)

レオ・ロワイヤル(1931年)

「最も素晴らしいレオ(Reo)」と評されたロワイヤル(Royale)は、5.8L直列8気筒エンジンを搭載し、2種類のホイールベースと複数のボディスタイルが用意された。1931年から1934年まで販売され、レオとしては唯一、クラシックカー・クラブ・オブ・アメリカ(CCCA)によってフル・クラシックカーに認められている。

印象的なモデルであったものの、販売にはほとんど貢献できず、レオは1936年に乗用車の生産を中止し、大型トラックの生産に専念することになった。

レオ・ロワイヤル(1931年)
レオ・ロワイヤル(1931年)

オールズモビル・エイト(1932年)

オールズモビル107年の歴史の中で唯一の直8モデルは、1932年に直6モデルに代わって登場した。当時の排気量は3.9L、出力は87psとされていたが、1933年には90ps、1935年には100psに引き上げられた。

1937年、ストローク長を減らしボアを増やすことで、排気量を4.2Lに拡大した。それに伴い最高出力も110psに向上した。

オールズモビル・エイト(1932年)
オールズモビル・エイト(1932年)

ポンティアック・エイト(1933年)

ポンティアックは、同じゼネラルモーターズ傘下のブランドであるオールズモビルより1年遅れて直8を導入した。このエンジンはエコノミーエイトとして知られ、1933年モデルで3.7L、最高出力77psを発生したが、すぐに3.8L、87psに上昇した。

ポンティアックはゼネラルモーターズ傘下でも長く直8を使い続けた。1954年のチーフテン(写真)には127psの4.4Lバージョンが搭載されたが、その後、より大排気量で180psという、強力な新型ストラトストリークV8に駆逐された。

ポンティアック・エイト(1933年)
ポンティアック・エイト(1933年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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