キャプチャーとアルカナの隙間へ 最新SUV ルノー・シンビオズ E-テックへ試乗 実力高し!

公開 : 2024.09.04 19:05

安楽に運転したい人へピッタリのE-テック

それでは、公道へ出てみよう。英国仕様のE-テック・ハイブリッドは、シフトレバーをDのままにして、安楽に運転したい人へぴったり。むしろ、自分でギアを選ぶ機能は備わらない。

洗練された印象で、トルクが太く、市街地では軽快に先を急げる。流れの速い郊外の道では、若干のパワー不足を感じることがあり、うるさい場面も伴うけれど。

ルノー・シンビオズ E-テック・フルハイブリッド(英国仕様)
ルノー・シンビオズ E-テック・フルハイブリッド(英国仕様)

キックダウンさせても中間のギア比が長めで、エンジンが高回転域まで気張っても、得られるパワー感は強くない。こんな加速感が、僅かな物足りなさを生んでいるようだ。

周囲の流れに合わせて運転している限り、パワートレインの存在感は小さい。今回の試乗では、19.5km/Lという優秀な平均燃費も得られた。

カーブが連続する区間では、確かなグリップ力で安定。ステアリングの精度も高い。乗り心地は、高速道路では適度な締まり感がありフラット。きついカーブからの脱出では、少しトラクションが足りない瞬間があるものの、全体的に安心感は高い。

市街地では、大きめのアルミホイールと硬めのサスペンションが相乗し、フランスのSUVとしてはやや振動が目立つ。それでも、快適性と操縦性を巧みに両立させている。これは最近のルノーで共通する強みといえ、磨き込まれた技術力の現れだろう。

丁度いいサイズ感 シェア拡大に結び付く実力

オーストラルとキャプチャーの間に収まる、丁度いいサイズ感のシンビオズ。見た目はスタイリッシュで、実用性も低くなく、価格相応の訴求力がある。燃費も褒められる。ルノーのシェア拡大に結び付くであろう、実力は有するといえる。

新しいメガーヌ E-テック・エレクトリックの完成度は高く、レトロフューチャーな5への期待も高まるばかり。好調なルノーだが、ここへ以前のブランドイメージに沿うさらなる革新性が加われば、一層勢い付くのではないだろうか。

ルノー・シンビオズ E-テック・フルハイブリッド(英国仕様)
ルノー・シンビオズ E-テック・フルハイブリッド(英国仕様)

◯:シンプルで整ったスタイリング ライバルよりお手頃な価格 広い荷室
△:リアシートはもう少し広くても良い 少しにぎやかで反応が遅れるパワートレイン

ルノー・シンビオズ E-テック・フルハイブリッド(英国仕様)のスペック

英国価格:2万9295ポンド(約557万円)
全長:4413mm
全幅:1797mm
全高:1575mm
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:10.6秒
燃費:21.3km/L
CO2排出量:105g/km
車両重量:1426kg
パワートレイン:直列4気筒1598cc 自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:145ps(システム総合)
最大トルク:15.1kg-m/3600rpm(内燃エンジン)
ギアボックス:4速オートマティック(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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