【佐藤久実がインタビュー】ランボルギーニらしさがつまったワンメイクレース、その成功の理由とは

公開 : 2024.09.22 07:05

8月17日に開催された『ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア』。2012年に始まったこのチャンピオンシップの人気の理由を、インタビューを元に佐藤久実がレポートします。

最高のマシンと最上のホスピタリティ

8月17日、灼熱の富士スピードウェイで『ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア』が開催された。

このレースは、ヨーロッパ、北米、そしてアジアで各シリーズ戦が開催される、世界最高峰のワンメイクレースのひとつ。

日本人女性ドライバー、小山美姫氏。
日本人女性ドライバー、小山美姫氏。    ランボルギーニ

アジアのチャンピオンシップは2012年に始まり、これまでに30ヵ国以上のドライバーがこのシリーズに参戦しているという。

2024年は、マレーシア、オーストラリア、韓国、日本、中国を転戦し、11月にスペインのヘレスサーキットで開催される世界チャンピオン決定戦『ワールドファイナル』で幕を閉じる。

使用車両はワンメイク用に専用開発されたウラカン・スーパートロフェオEVO2で、タイヤもハンコックのスリックによるワンメイクとなっている。

ドライバーは車両に対して1名もしくは2名で、50分×2レースで行われる。

レース当日は、ピット上に設けられたVIPホスピタリティラウンジから観戦した。

ここはレース関係者とその家族やゲストのみが使えるスペースで、朝から夕方までイタリア人シェフによるビュッフェが提供される。パスタは注文する都度シェフがソースと和えて温かい状態で提供。

その他にもシリーズパートナーのブースが設けられ、1日を快適に過ごすことができる。コース上の熱いバトルを応援するファミリーの姿も多く見られた。

女性ドライバーの活躍にも期待

このレースに合わせ日本に来日した、アジア太平洋地域CEOのフランチェスコ・スカルダオーニ氏にインタビューの機会を得た。

そもそもこのワンメイクレースは、オーナーのライフスタイルの一環として始まったという。ラウンジが用意されるのもその表れのひとつ。情熱的なオーナーは安全な環境でランボルギーニを走らせたい、ということで、このステージとマシンが用意された。

アジア太平洋地域CEOのフランチェスコ・スカルダオーニ氏。
アジア太平洋地域CEOのフランチェスコ・スカルダオーニ氏。    ランボルギーニ

ABSやトラクションコントロールなど電動化されたマシンは、GT3カテゴリーに近いスピードでスリルを味わえ、アドレナリンの分泌を体感できる。

当初はジェントルマンドライバーを想定したレースだったが、やがて彼らはよりスキルアップを図りたいと、プロドライバーをコーチとして雇うようになる。そして、プロと組んでレースに出るようになった。

一方、ジュニアドライバーにとっては、GT3に近いパワフルで速いワンメイクマシンでのレースは、ステップアップのステージとして魅力的なカテゴリーでもある。

また、新たに参戦したジェントルマンドライバーが市販車のカスタマーとなる、という逆パターンも見られるようになり、このレースはマーケティング的にも成功を収めているといえる。

今回、小山美姫氏と、もう1名タイ人女性ドライバーのNattanid “Kat” Leewattanavalagul氏が参戦していた。

ランボルギーニは普段から女性向けイベントを様々開催しているが、レースステージにおける女性ドライバーの参戦についてスカルダオーニ氏に伺ったところ、多様性の時代であり、彼女たちが男性同様ドライブできることを証明しており、今後も女性ドライバーを支援していきたいとのことだった。

レースシーンでステップアップに苦労してきた身としては、とても頼もしく、そして嬉しく思った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    佐藤久実

    Kumi Sato

    大学在学中にレースデビューし、耐久レースをメインに活動。ニュルブルクリンク24時間レース、スパ・フランコルシャン24時間レースで入賞を果たす。モータースポーツで培ったスキルをベースにインストラクターとしても活動。東海大学工学部動力機械工学科非常勤講師、芝浦工業大学特別講師の経験あり。日本カー・オブ・ザ・イヤー、World Car Awards、日本ボート・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める。

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