フォード、新型7人乗りEV発売中止 「採算合わない」予算削減 ハイブリッドへ注力

公開 : 2024.08.22 18:25

フォードは新型EVの開発を中止した。3列7人乗りの電動SUVで、採算が合わないとして発売が見送られた。EV向けの予算も削減され、他のモデルにも影響が及んでいる。

3列7人乗りの電動SUV

フォードは、7人乗りの新型EVの発売計画を中止した。開発費用を早期に回収できる見込みがないためだ。

中止により、19億ドル(約2750億円)のコストを計上する可能性がある。フォードは、EVの新規購入者のコスト意識の高まりと、市場に増え続けるEVの選択肢を懸念材料として指摘した。

フォードは欧州では依然としてEV攻勢を続けている。
フォードは欧州では依然としてEV攻勢を続けている。

今後はハイブリッドの3列シートSUVの開発を優先し、EVへの年間投資額を全体の40%から30%に削減する。

それに伴い、電動ピックアップ「T3」の発売も2025年から2027年後半に延期された。これにより、より安価なバッテリーを使用できるようになるという。

一方、欧州では手頃な価格の電動SUVに焦点を当てており、従来のフィエスタとフォーカスの後継にあたる新型EVを2026/2027年頃に発売する予定だ。プーマのEV版も今年後半に登場する。

フォードのモデルE部門の最高執行責任者(COO)であるマリン・ギャジャ氏は、最近AUTOCARの取材で次のように語った。

「当社にとって重要なのは、手頃な価格で、差別化し、利益を生むことです。我々はあまりにも長い間、安価なセグメントにとどまり続け、損益分岐点か赤字のどちらかにいました」

「問題は、特に中国のような非常に低コストの製造拠点が手頃な価格の自動車を送り出している中、どう競争するかということです」

「そこがジレンマです。真の大衆ブランドになるために、お客様にエクスプローラーのようなクルマに乗り換えてもらいたいのは確かです。米国では手頃な価格のプラットフォームでそれを実現しており、そのプラットフォームを欧州でも活かせない理由はありません」

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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