ムルシエラゴを破った996 曲線美で魅了する993 伝説の起源にある930 ポルシェ911 ターボ 3台乗り比べ(1)

公開 : 2024.09.07 09:45

曲線美で魅了する993型 水冷になった996型

1974年に出現した、ホエールテール・ウイングを背負った930型は、夢に見るような憧れだった。1989年7月まで販売され、交代間際の英国価格は約5万6000ポンド。しかしプレミアが付加され、20万ポンド近い金額で取り引きされたという。

1970年代前後に生まれた、X世代のクルマ好きにとっては、曲線美で魅了する993型の911 ターボも憧れの対象だったはず。最近になって、人気は上昇基調だ。

ポルシェ911 ターボS(996型/2000〜2004年/欧州仕様)
ポルシェ911 ターボS(996型/2000〜2004年/欧州仕様)

いかにも911らしいシルエットの内側には、レスポンスの良い小径ターボが、各バンクへ1基づつ載っている。同時期のツインターボ・ポルシェ、959が採用したシーケンシャル・レイアウトとは対照的といえる。

高性能化を突き詰めた993型ターボは、シュツットガルトの技術者へ自主規制を決めた911でもあった。400ps以上の馬力には、四輪駆動が必要だと判断された。この考えは後に改められるが、モンスター級のパワーだと、ポルシェも認めていたのだ。

筆者の場合、個人的には996型がツボだった。他の911と比較すると、見た目の輝きは薄めで、歴代初の水冷エンジンということで、ポルシェ・ファンからの視線はさほど熱くない。それでも中古車価格はお手頃で、われわれに現実的な911 ターボといえる。

走行距離が少し長めで、メルセデス・ベンツ由来のATに絞れば、英国なら3万ポンド(約570万円)以下の予算でも探せる。目的地まで最短時間で到達できたロードカーとして、魅力的な提案だといえる。

この続きは、ポルシェ911 ターボ 3台乗り比べ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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