【ランボルギーニ・レヴエルト試乗記in富士】 電動化によって実現した、操れる1015ps

公開 : 2024.08.26 17:45

その真価は1015psにあらず?

フロントに仕込まれた2モーターの狙いは、AWDの成立はもちろんベクタリングにあることは言うまでもない。これまで筆者は2代目ホンダNSXフェラーリSF90でフロント2モーターのミッドシップスーパースポーツを体験したことがある。

NSXのそれはすぐに作動感が分かる粗っぽい感覚で、ドライバーが想像している以上に曲がるので面白かった。けれどレヴエルトは仕上がりのレベルが違った。前輪が積極的に駆動するからAWDっぽいのではなく、スタビリティの高さが2駆とは全く違うレベルにあるのでAWDとわかるのだ。

自然吸気V12エンジンに、フロント2基、リア1基のモーターを組み合わせる。
自然吸気V12エンジンに、フロント2基、リア1基のモーターを組み合わせる。

ベクタリングに関しても作動感はほとんど看破できず、ひたすらナチュラルに4輪のグリップ感だけが伝わってくる。アヴェンタドールの場合はリアの重みとアンダーステアに気を付けながらドライブする感じだったが、レヴエルトは車重が気にならず、コーナーの中間から積極的に踏んでいける。

ついつい1015psという数字にスポットを当ててしまいたくなるが、電動化を味方につけたレヴエルトの真価は、誰でも容易にその大パワーを操れる点にあるのだ。

複雑な機構を内包しながら、いきなり完成度が高いランボルギーニ・レヴエルト。唯一残念に思ったのは、9000回転超のレブリミットを誇るV12エンジンの回転フィールや音がそこまでクローズアップして感じられなかったこと。ともあれ想像以上のフラッグシップ交代劇が起こったのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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