「911 ターボS」に匹敵の出力荷重比! アリエル・ノマド 2へ試乗 昆虫のような足さばき

公開 : 2024.09.07 19:05

パワフルなエンジンと長いサスペンションを融合した元祖、アリエル・ノマド 出力荷重比は911 ターボSに匹敵 昆虫のような足さばき Vの字を描く鋭い旋回 英編集部が評価

チューブラーフレームに309psの4気筒ターボ

パワフルなエンジンと、二度見するほど長いサスペンションの組み合わせが、目からウロコな運転体験を生むことは実証されている。AUTOCARの読者なら、ランボルギーニウラカン・ステラートとポルシェ911 ダカールのことをご存知だろう。

このレシピを、先んじて考案したといえるメーカーが、英国に存在する。グレートブリテン島南西部、サマセットに拠点を置くアリエルだ。サーキット前提のアトムを、オフロードバギー風にしたノマドは、2015年にリリースされている。

アリエル・ノマド 2(英国仕様)
アリエル・ノマド 2(英国仕様)

同社の実力を知る人は、チューブラーフレームでブロックタイヤを履く、ノマドの怪腕へ気づき魅了された。それから9年が経過し、Mk2へ進化する時が来たようだ。

納車待ちのリストは、既に2年以上に及ぶとか。ノマド 2は、少数精鋭の職人によって組み立てられている。1人が1台を担当する態勢で。

基本的なコンセプトを初代から受け継いでいるが、それ以外のノマド 2はまったく新しい。引き継いだ部品は、給油口のキャップと、アルカンターラ巻きのステアリングホイール程度らしい。

チューブラーフレームを構成するパイプは直径が太くなり、剛性は60%強化された。エンジンは、以前はホンダから購入する2.0L 4気筒ターボだったが、Mk2ではフォードから届けられる。マスタングにも載る、2.3L 4気筒ターボだ。

最高出力は、3段階に調整できるブースト圧を1番低くしても、263ps。最大トルクは39.1kg-mを発揮する。目一杯上げれば、309psと52.7kg-mを繰り出す。

パワーウエイトレシオは911 ターボSに匹敵

車重は715kgしかなく、263psでもパワーウエイトレシオはポルシェ911 ターボSに匹敵する。車体の寸法は、全長3220mm、全幅1850mm、全高1420mmと、驚くほど小さい。オールテレーン・タイヤが、巨大に見える。

トランスミッションは、フォード由来の6速マニュアル。挙動を読みやすい、クワイフATB社製のリミテッドスリップ・デフを介し、後輪が駆動される。

アリエル・ノマド 2(英国仕様)
アリエル・ノマド 2(英国仕様)

サスペンションはダブルウィッシュボーン式で、標準では、ダンパーは固定レートのK-テック社製。そこにアイバッハ社製のスプリングが組まれる。オプションで、ソフトなビルシュタイン社製や、調整式のオーリンズ社製ダンパーも選択できる。

アリエルは、サーキットやオフロードを豪快に飛ばしたいなら、オーリンズを推奨する。試乗車にも組まれていた。

Mk2では、初代以上にサスペンションのストロークが長くなり、最低地上高も高められた。繰り返される激しいジャンプへの耐性も、高まったという。それでも、本来の個性は変わらない。

「アンチスクワットとアンチダイブ性を改善し、クルマの精度が少し向上しています。従来より運転しやすくなった一方、コーナーでのロールや、加減速時のダイブの動きは失っていません」。同社のヘンリー・シーバート・サンダース氏が説明する。

複雑に組まれたチューブラーフレームのおかげで、乗り降りは少々難しい。フレームの上から飛び降りるか、パイプの間から体をねじり込むしかない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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